東峰(読み)とうほう

改訂新版 世界大百科事典 「東峰」の意味・わかりやすい解説

東峰[村] (とうほう)

福岡県中東部,朝倉郡の村。2005年3月小石原(こいしわら)村と宝珠山(ほうしゆやま)村が合体して成立した。人口2432(2010)。

東峰村北西部の旧村。朝倉郡所属。人口1219(2000)。英彦(ひこ)山と筑紫山地の接触部にあたり,村域の大半は標高700m前後の山地で,北部盆地小石原川が西流する。古くからの交通の要衝で江戸時代は参勤交代の通路に当たり,宿場町として,また英彦山詣での門前町として栄えた。総面積の9割が山林であるが,うち5割が国有林で,さらに民有林の3割強が村外地主で占められているため,経済効果は薄い。農業経営の基盤も弱いが,最近はリンゴ,梨栽培などの観光農園化が図られている。優良な陶土に恵まれ,高取焼小石原焼の特産品があり,窯元を訪れる観光客は年間20万人を超える。県下では離島の大島村(現,宗像市)と並ぶ人口の少ない村であった。

東峰村東部の旧村。大分県に接する。朝倉郡所属。人口1729(2000)。筑後川の支流大肥(おおひ)川上流域の山地を占め,北部には英彦山に連なる釈迦ヶ岳(844m)などがそびえる。主集落はJR日田彦山線大行司(だいぎようじ)駅付近にあり,国道211号線も通る。明治中期以降,朝倉炭田に属する小炭鉱が稼働してきたが,1963年すべて閉山した。農林業が主産業であるが,零細であり,兼業化,高齢化が進んでいる。岩屋神社重文)を中心とする岩屋公園耶馬日田英彦山国定公園に含まれる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「東峰」の意味・わかりやすい解説

東峰(村)
とうほう

福岡県の中南部、朝倉郡(あさくらぐん)にある村。2005年(平成17)、小石原村(こいしわらむら)、宝珠山村(ほうしゅやまむら)が合併して成立。東部は英彦山(ひこさん)山地、西部は古処(こしょ)山地の山々からなる山村で、冬季には積雪をみることも多い。東端部をJR日田彦山(ひたひこさん)線が南北に走り、南流する大肥(おおひ)川に沿って、村の中央部を国道211号が縦貫、北部を西流する小石原川に沿って国道500号が横断する。高冷地を生かした農林業が主産業で、野菜、果樹、花卉(かき)のほか、木材、シイタケ、クリなどを産するが、過疎化が進んでいる。宝珠山竹地区の棚田は「日本の棚田百選」に選出。当地は英彦山と宝満山(ほうまんざん)とを結ぶ峰入行者道にあたり、修験関係の遺跡・伝承が多く残される。明治中期以降に宝珠山炭坑(のち朝倉炭田)が開発されたが、1963年(昭和38)閉山。当時の炭坑クラブの建物が移築され、山村文化交流の郷「いぶき館」として英彦山修験や炭坑隆盛時代の歴史資料を展示。小石原の皿山(さらやま)周辺には小石原焼の窯元約50軒が点在し、小石原焼伝統産業会館がある。村の北部、大肥川西岸の権現岩とよぶ大岩の下の窪みに岩屋神社(いわやじんじゃ)が鎮座。同社の本殿は、奥院にあたる境内社熊野神社の本殿(岩窟の中に懸造り)とともに国指定重要文化財。面積51.97平方キロメートル、人口1899(2020)。

[編集部]


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