ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「松尾敏男」の意味・わかりやすい解説
松尾敏男
まつおとしお
[没]2016.8.4. 東京
日本画家。長崎県長崎市に生まれ,1929年に一家で上京。1933年より日本画家の堅山南風に師事し,1949年に再興第34回日本美術院展覧会(院展)で『埴輪』が初入選。1954年には加山又造,関主税,濱田台児らと不同社を結成。1962年より院展で受賞を重ね,1970年『樹海』で日本美術院賞(大観賞)を受けた翌 1971年に日本美術院同人となる。1972年『海峡』で芸術選奨新人賞,1979年『サルナート想』で日本芸術院賞を受賞。1987~96年多摩美術大学教授,1999年同大学名誉教授。1994年日本芸術院会員,1998年勲三等瑞宝章受章,2000年文化功労者,2009年から日本美術院理事長,2012年文化勲章受章。自然を題材に不安や死生観を表した作品で戦後日本画の新たな可能性を追求した初期から,繊細な色調の花鳥画や人物画へと展開し,ヨーロッパやアジアなど海外の情景に取材した風景画から水墨画まで作域の広い画業で,師の南風から横山大観へとたどりうる清澄な画境を示した。
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