松脂岩(読み)しょうしがん(その他表記)pitchstone

翻訳|pitchstone

岩石学辞典 「松脂岩」の解説

松脂岩

もともとドイツ語ではPechsteinという岩石で,最初にシュルツらによって使われた名称[Schulze & Poetsch : 1759, Leonhard : 1823].松脂岩は多少脱ガラス化したガラス質の緻密な火成岩で,ピッチ状または樹脂状の光沢を示している.普通は岩脈または岩床として産出するが,噴出したという記録がある.あるものは斑状で,石英長石またはオージャイト斑晶を含んでいる.松脂岩は2~6%またはそれ以上の10%に達するH2Oを含んでいる.これに対して黒曜岩の水分は1%かそれ以下である.松脂岩の組成は一般に流紋岩,デーサイトその他の酸性および中性の岩石に対応している.貝殻状の割れ目を示しており,一般に長石,角閃石,オージャイトの微結晶を含んでいる.この語自体は組成を意味していない.松脂岩の中には周辺や節理にそって部分的に脱ガラス化して珪長質のような岩相を示すものがある[Anderson & Radley : 1916, Tyrrell : 1928].ラテン語pic-, pixはpitchの意味.石はpitchとは無関係で,暗黒色の光沢をもつことによる.ラテン語のbitumenは脂の意味で,瀝青の瀝はしたたる,残った液の意味で,石炭からコールタールを作る際の製法によっている[歌代ほか : 1978].

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「松脂岩」の意味・わかりやすい解説

松脂岩
しょうしがん
pitchstone

斑晶に乏しく,ガラス質で貝殻状断口を示す流紋岩質火山岩ピッチストーンともいう。黒色,灰色暗緑色褐色など。光沢,割れ目などの外見がピッチに似ているためこの名がある。化学組成流紋岩とほぼ等しいが,結晶水を多く含み,ときに 10%に達する。黒曜石真珠岩とは見かけや組織の点で異なるだけで,岩石学的には同系統のもの。比重 2.240~2.385。焼くと膨張する性質を利用して軽量骨材原料や耐火材原料などに用いられる。新第三紀第四紀の酸性火山岩中にしばしば産出する。(→火山岩

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百科事典マイペディア 「松脂岩」の意味・わかりやすい解説

松脂岩【しょうしがん】

ピッチストーン

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世界大百科事典(旧版)内の松脂岩の言及

【ピッチストーン】より

…水を多量(1~10%)に含むガラス質のフェルシックな火山岩。松脂岩ともいう。緑褐色で樹脂状光沢をもつ。…

※「松脂岩」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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