木材搬出のために敷設された鉄道。機関車を用い列車を編成して運材する森林鉄道と,木材を積載した貨車を人力または荷物の自重を利用して単車運転する森林軌道に区別される。森林鉄道は大正から昭和30年代にかけて北海道,青森,秋田,長野および高知の国有林で運材幹線としての役割を果たしていた。森林鉄道の特色としては多量の運材に適すること,運材量が多ければ単位材積当りの運賃が低廉なこと,けん引抵抗が小であるから動力が経済的であること,運材中木材の損傷が少ないことおよび季節や天候の支配を受けることが少なく運材が確実なことがあげられる。一方欠点として,多額の建設費を要するから連年多量の運材を行わなければ不経済となること,運材専用施設であるから使用が限定されることなどがあってしだいに自動車道に改修され1974年木曾の王滝森林鉄道の廃止によって日本では見られなくなった。台湾阿里山の森林鉄道は,日本の統治時代である大正初期に竣工され,現在も観光鉄道として利用されている。
執筆者:上飯坂 実
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原木を森林から搬出するための鉄道で、木材の大量生産地帯に有利な運材法。軌間は762ミリメートル、機関車は5~10トン程度のディーゼル機関車、幹線では十数トンの蒸気機関車、木材運搬用貨車には鋼製および木製のボギー式トロが広く用いられた。森林鉄道は幅員が狭いので急峻(きゅうしゅん)な地形の渓谷などでも路床を開設できるため、かつて広く日本の森林の木材大量生産地帯に敷設された。しかし、急勾配(こうばい)の敷設ができないことと、ほかの車両の通行を許さないなどの理由から、自動車工業の台頭に伴い、トラック道を主とする林道にその地位を譲るに至った。かつての大森林鉄道地帯には、一部の路線と蒸気機関車および木材運搬用貨車、客車類を、森林鉄道博物館として保存している所が多い。国内では、自然保護を重視した屋久島(やくしま)の国有林などで森林鉄道が現存している。海外林業圏では、台湾の阿里山(ありさん)やアメリカ西海岸の一部などにみられる。
[山脇三平]
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…陸上運材は木馬(きんま)運材,橇(そり)運材,車両運材,鉄道運材,索道運材などがあるが,現在日本で用いられているのはトラックによる車両運材と索道運材である。かつては比較的短距離の場合は木馬や畜力を利用したり,長距離でしかも運材量の多い場合は森林鉄道が用いられた。昭和20年代に入り自動車工業の隆盛にともない林道を利用したトラックによる運材が主流になった。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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