江戸時代初期の剣豪。柳生新陰流,将軍家師範。柳生宗矩(むねのり)の嫡男で,はじめ七郎,のちに十兵衛三厳(みつよし)という。剣の実力は父をしのぎ,当代随一の剣豪といわれた。1619年(元和5)徳川家光の小姓として出仕したが,26年(寛永3),理由は明らかでないが家光の勘気により致仕した。その後38年再出仕するまで,大和柳生の道場で家法新陰流のくふう研究と門弟の指導に日を送ったようである。兵法の思索研究の成果は《月之抄》(1642)として残る。父宗矩の死後宗家を継いだ。荒木又右衛門の剣の師でもあり,生涯の門弟1万数千名にのぼるといわれる。十兵衛が少年のころ,父宗矩の投げた小石で隻眼(せきがん)となったとか,表向きは将軍家光の勘気をこうむり勘当されたことにし,実際は幕府の隠密(おんみつ)として諸国を漫遊したとかいわれるが,いずれもフィクションである。
執筆者:中林 信二
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…いわゆる武勇物の一つ。柳生流剣術の祖,柳生宗厳(むねよし),その子で将軍指南役となった柳生宗矩(むねのり),およびその嫡男柳生十兵衛三厳(みつよし),三厳の弟柳生又十郎(のちの飛驒守宗冬(ひだのかみむねふゆ))の柳生家3代の物語。ふつう,宗矩,十兵衛三厳,又十郎(宗冬)の3人が中心に演じられ,それぞれの独立した講談もある。…
※「柳生十兵衛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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