日本大百科全書(ニッポニカ) 「柳谷」の意味・わかりやすい解説
柳谷
やなだに
愛媛県中部、上浮穴郡(かみうけなぐん)にあった旧村名(柳谷村(むら))。現在は久万高原町(くまこうげんちょう)の南部を占める一地域。1889年(明治22)の市町村制施行で柳井川、西谷の2村が合して柳谷村となり、1955年(昭和30)中津村の一部を合併、2004年(平成16)久万町、面河(おもご)、美川(みかわ)の2村と合併、久万高原町となる。旧柳谷村は、仁淀(によど)川上流域にある山村で、東部と南部は高知県に接す。国道33号、440号が通じる。面積の約9割が山林で、スギ、ヒノキの人工林が多く林業が主である。中心集落の落出(おちで)は国道33号に沿う予土(よど)国境の交通の要地。黒川渓谷にある八釜(やかま)の甌穴(おうけつ)群は規模が大きく、特別天然記念物に指定されている。南部の県境一帯の五段高原は四国カルストの一部で県立自然公園に含まれ、展望がよく西方の姫鶴平(めづるだいら)は放牧場となっている。中久保は戸数を100年以上も18戸に制限し共同体の色彩が濃い集落として知られる。四国電力の面河第三ダムがある。
[横山昭市]