案外(読み)アンガイ

デジタル大辞泉 「案外」の意味・読み・例文・類語

あん‐がい〔‐グワイ〕【案外】

[名・形動]
予想が外れること。思いがけないこと。また、そのさま。思いのほか。副詞的にも用いる。「彼女には案外一面がある」「案外よくできた」
非常識で無礼なこと。また、そのさま。
「―なる素野郎すやらうめ」〈浄・先代萩
[用法]案外・意外――「案外」は予想と事態が違っていた場合に使う。「期待していたが、案外つまらない映画だった」「心配していたが、仕事は案外楽だった」など。◇「意外」は「意外に時間が早くたってしまった」「パーティーで意外な人に会った」のように、「意外な」「意外に」の形で、考えていたことと実際が違う場合や、予想できなかったようなことに使う。
[類語]思いのほか意外思いがけない慮外存外望外予想外意表結構なかなか割合思いも寄らない意想外心外不慮ゆくりなく

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「案外」の意味・読み・例文・類語

あん‐がい‥グヮイ【案外】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 )
  2. 思いがけないこと。予想と食い違うこと。意外。存外。慮外。副詞的にも用いる。
    1. [初出の実例]「其時申小野宮記一レ之由、如此案外事令量行給旨、不古賢之由、入道大納言所語也云々」(出典:左経記‐長元四年(1031)二月四日)
    2. 「主人は案外真面目で」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉三)
  3. 非常識なこと。無礼なこと。慮外。
    1. [初出の実例]「我儘(わがまま)ばかり案外(アングヮイ)をふるまひけれど」(出典:浮世草子好色敗毒散(1703)二)

案外の語誌

挙例のように平安時代中期の公家日記、「左経記」に使われているが、中国文献には見出されない。「案の外(ほか)」という言い方が「今昔‐二五」にあり、「案のほか」を「案外」と表記したことによって生じた和製漢語と見られる。「左経記」の「案外」もアンノホカと読まれた可能性もある。

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