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植物区系 ショクブツクケイ

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デジタル大辞泉の解説

しょくぶつ‐くけい【植物区系】

世界各地の植物相の特性を比較して、それぞれの特徴をもつ地域に分けたもの。全北区旧熱帯区新熱帯区オーストラリア区ケープ区南極区の六つに分けることが多い。

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百科事典マイペディアの解説

植物区系【しょくぶつくけい】

世界の植物相を比較し,同じような植物相のいくつかの地域に区別するとき,その各区域をいう。植物相の著しい変化のあるところに境界を引いて区分し,区分の最大単位を区系界kingdom,この下に区系区region,地方provinceの単位をおく。
→関連項目蝦夷線シュミット線

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世界大百科事典 第2版の解説

しょくぶつくけい【植物区系 floristic region】

ある地域に生えている植物の種の全体を植物相(フロラ)floraというが,植物相を構成する種は地域によって異なっている。隣接する地域ごとに植物相を比較してみると,構成種の違いがとくに目立つ場合がある。このように,隣接する地域で植物相の構成要素が大きく異なっている場合,そこにフロラの滝が存在するという表現をすることがある。地域による植物相の類似の程度によってまとめていくと,フロラの滝の顕著なところを境界にして,植物の分布の様子を地域ごとに区分することができる。

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大辞林 第三版の解説

しょくぶつくけい【植物区系】

植物の地理分布上の地域。世界各地の植物相を比較して、独自の植物群を含む地域に分けたもの。動物地理区に相当するが、地史的条件の影響が強いため、一致しない所が多い。一般に、全北区・旧熱帯区・新熱帯区・オーストラリア区・ケープ区・南極区の六区に分ける。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

植物区系
しょくぶつくけい

世界各地の植物相を分布的な特性をもとに分けた地域をいう。地球上の植物は長い地質時代を通して発生し、能力に応じて分散し、さらに地殻の変動によって隔離されたりしながら、地域特有の植物相を構成している。一般に隔離の歴史が古く、互いに距離が隔たっている地域ほど固有の種が多く、植物相の独立性が高い。[奥田重俊]

世界の植物区系

世界の植物区系は区系界のレベルで、全北、旧熱帯、新熱帯、オーストラリア、ケープおよび南極の6区系界に分けるのが一般的である。それぞれの区系界はさらに亜界、区系区などに細分される。
(1)全北区系界 北半球の新旧両大陸にまたがり、第三紀に北極周辺に発達した植物に起源する種が多いが、寒帯の植物もかなり含まれる。マツ、モミ、サクラ、カエデ、ユリの各属などに固有種が多い。
(2)旧熱帯区系界 ケープ地方を除くアフリカ、ヒマラヤ以南のアジア、ニューギニアおよび太平洋の諸島にわたる、熱帯および亜熱帯地域で、地球上でもっとも種類の豊富な所である。ヤシ、サトイモ、コショウ、ガガイモの各科は属レベルで特徴的であり、フタバガキ科、タコノキ科が特産である。
(3)新熱帯区系界 中南米の熱帯地域で、サボテン、パイナップル、カンナ、マルピギアの各科、およびフクシア、リュウゼツラン、ユッカの各属が固有である。
(4)オーストラリア区系界 オーストラリアは固有種が多く、全フロラ(植物相)の75%が固有といわれている。ヤマモガシ科、アカシア属、ユーカリ属、フクロユキノシタ科など、特徴的な種が分化している。
(5)ケープ区系界 アフリカ南端のケープ地方だけという小地域で、エリカ属、アヤメ科、ヤマモガシ科に固有種が多い。また、マツバボタン類の多肉植物の分化が著しい。
(6)南極区系界 南米のパタゴニア地方とニュージーランドおよび南極大陸にわたる地域で、イネ科、カヤツリグサ科に固有種が多い。ノトファグス属、ヘーベ属なども固有である。
 なお、(1)を全北区系界群、(2)(3)をまとめて熱帯区系界群、(4)(5)(6)をまとめて全南区系界群として、さらに大きな単位とすることもある。[奥田重俊]

日本の植物区系

わが国の植物区系は、旧熱帯区系界に属する南西諸島と小笠原(おがさわら)諸島を除けば、全北区系界の日華区系区に含められる。その範囲は日本列島、中国大陸、ミャンマー(ビルマ)北部、ヒマラヤ山地を経てアフガニスタン東部に及んでいる。この地域は過去において氷河の影響が少なく、温暖多雨な気候条件下にあるため、おもに温帯性の落葉樹林を本拠とする植物が生育している。カツラ、フサザクラ、ヤマグルマ、キブシ、トチュウの各科が固有である。モクレン、サクラ、アジサイ、ツツジなどの種類が多く、またイチョウ、スギ、メタセコイア属など、古い形質をもつ裸子植物のあることで有名である。
 日本列島は、水平的にも垂直的にも変化に富み、アオキ属、アケビ属、ホトトギス属、ギボウシ属、ヤブラン属、キレンゲショウマ属など多数の固有属に恵まれている。日本列島の地方的植物区系は前川文夫(ふみお)によれば次のように区分される。
(1)えぞ‐むつ地域 渡島(おしま)半島を除く北海道全域と北上(きたかみ)高地。トドマツ、アカエゾマツ、ミヤマハンモドキなどが固有種。
(2)日本海地域 日本海側の多雪地。トガクシショウマ、サンカヨウ、トキワイカリソウ、キャラボク、アクシバなどが固有種。
(3)関東地域 東北から関東地方の太平洋側。シバヤナギ、アブラツツジ、ミミガタテンナンショウなどが固有種。
(4)フォッサマグナ地域 富士箱根伊豆および伊豆七島までの富士火山帯。ハコネコメツツジ、ハコネウツギ、オトメアオイ、カナウツギなどが固有種。
(5)ソハヤキ地域 紀伊、四国、九州の太平洋側。キレンゲショウマ、バイカアマチャ、センダイソウ、トガサワラなど、多くの固有種がある。
(6)美濃(みの)‐三河地域 静岡県西部から愛知県、岐阜県東部。ホソバシャクナゲ、ハナノキ、エンシュウハグマ、シデコブシなどが固有種。
(7)阿哲(あてつ)地域 岡山県西部と広島県東部。キビヒトリシズカ、アテツマンサク、ヤマトレンギョウなどが固有種。石灰岩地生の植物が多い。
(8)小笠原地域 ポリネシア区系の北端にあたり、木本植物では67%が固有種といわれている。モチノキ属、トベラ属、シロテツ属、ワダンノキ、オガサワラツツジなどがよく知られる固有種。
(9)琉球(りゅうきゅう)地域 奄美(あまみ)大島以南の南西諸島。熱帯性の植物が多い。リュウキュウマツ、オキナワウラジロガシ、ヘツカリンドウ、ソテツ、ヤエヤマスズコウジュなどはこの地域を中心に分化してきたと考えられている。[奥田重俊]

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世界大百科事典内の植物区系の言及

【植物】より

…胞子の飛散によって分布域の拡大を行っている植物群の分布は,種子植物の場合と必ずしも一致するとはかぎらないが,種子植物以外の植物群の分布をおもな資料として,地球上における植物の分布について詳細な比較がなされることはむしろ珍しい。 動物地理区に対比させて,地球上の植物の分布区系を全北植物区系界,旧熱帯植物区系界,新熱帯植物区系界,オーストラリア植物区系界,ケープ植物区系界,南極植物区系界に六大別しようとする意見が古くからあったが,最近では,グッドR.Goodの区分を基本とする37の植物区系を設定して,地球上の植物分布を整理しようという傾向が強い。これによると,日本列島の大部分は中国からヒマラヤにかけての地域と共通で,日華植物区系区Sino‐Japanese regionとなり,北は南サハリンから南千島までを含むことになる。…

【生物地理区】より

…各地の生物相の特徴を基にした地理的区分。動物,植物,さらにその分類群によって多少異なり,一般に動物の場合は動物地理区,植物の場合は植物区系と呼ばれる。古典的には分類学に基づき分類地理学的な区分がなされたが,近年では生態学的要素も考慮されるようになってきた。…

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