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植物工場 しょくぶつこうじょう

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知恵蔵2015の解説

植物工場

光、温度、湿度、二酸化炭素濃度、栄養分など、植物の生長に必要な環境条件を施設内で高度に人工制御して、年間を通じて計画的・安定的に野菜や花きを育てる生産システムレタス類やハーブ類を中心に、トマトイチゴ、バラ苗などが栽培されている。倉庫などの閉鎖空間でLEDや蛍光灯などの人工光を用いて栽培する「完全人工光型」と、ガラス温室などで太陽光を利用しながら補助的に人工光を用いる「太陽光利用型」に大別できる。近年、農商工連携の象徴的な取り組みとして注目され、国や自治体による支援もあって参入が増えている。
完全人工光型の植物工場は1985年に、つくば科学万博で展示されたり、千葉県の商業施設に設置されたりして注目を集めた。その後、何度かのブームを経て、2008年の農商工等連携促進法(正式名称は「中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律」)を契機に、農林水産省経済産業省が普及を図ってきた。両省は、先端技術の導入による園芸農業振興と地域活性化が期待される農商工連携の取り組みとして、植物工場を位置付けている。両省によるワーキンググループの報告書によれば、植物工場は2009年春には全国に約50施設(そのうち34施設が完全人工光型)あった。2013年春には153施設(うち125施設が完全人工光型)に増えたという報告もある。ビジネスとしては初期投資や運営コストの高さ、管理人材の不足などの課題が指摘される一方、品質面や供給面の特質を生かした市場開拓、エネルギー事業との連携、医薬品機能性食品の製造、工場プラントの輸出などの可能性もある新たな産業として期待されている。

(原田英美  ライター / 2014年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

植物工場

太陽光に頼らないLED照明などの「完全人工光型」と、自然光を生かす「太陽光利用型」、両方の「併用型」がある。野菜のほか、より付加価値の高い医薬品や化粧品の原料に特化した工場もある。取得の手続きが煩雑な農地がいらず、農業と縁のなかった企業でも参入しやすい。ただ、初期投資や維持費が高額で、資金繰りに行き詰まるケースもある。消費者にとっては、大雨や猛暑になっても品薄にならず、価格が安定する効果があると期待されている。

(2015-11-23 朝日新聞 朝刊 鹿児島全県・1地方)

出典|朝日新聞掲載「キーワード」
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デジタル大辞泉の解説

しょくぶつ‐こうじょう〔‐コウヂヤウ〕【植物工場】

屋内で温度や湿度、光量などを最適な状態にコンピューターで制御して野菜を栽培する施設。四季を通じて一定の価格で安定した供給ができる。また、安全性の高い生産や土地の有効利用などが可能。トマト・イチゴ・葉物を主に栽培。野菜工場

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知恵蔵miniの解説

植物工場

光、温度、湿度などを管理した屋内施設で野菜などの植物を育てるシステム。病原菌や害虫の侵入がなく無農薬での生産が可能であること、天候に左右されず年間を通じて収穫でき価格が安定していること、広大な土地や高度な農業技術がなくても栽培が可能であることなど、多くの利点がある。2009年に国が補助金を出して建設を促したことで企業の参入が相次ぎ、稼働中の工場の数は同年の約50カ所から12年3月末には127カ所まで増加した。東日本大震災の津波による塩害や放射能汚染の問題を解決する手段としても期待が寄せられ、被災地で工場開設に乗り出す動きも見られる。ただし、現時点では初期投資や電力費などのコストがかさみ、路地野菜に比べて価格が割高になりやすいといった課題もあり、自然エネルギー蓄電池、LEDなどの活用による栽培コストの低減が進められている。

(2012-07-12)

出典|(株)朝日新聞出版発行
(C)Asahi Shimbun Pubications Inc
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

植物工場
しょくぶつこうじょう

光、温度、湿度、二酸化炭素、養分などをコンピュータで管理しながら植物を栽培する施設、またその技術。野菜工場ともよばれる。天候に左右されずに年間を通じて野菜、花卉(かき)などを栽培できるため、価格の乱高下を抑える利点がある。発光ダイオード(LED)で光の波長を変えるなどして、植物の栄養価を人工的に高めたり、薬効成分を増やしたりする研究も進んでいる。
 1957年、デンマークのクリステンセン農場でスプラウト(植物の新芽)を栽培した事例が植物工場の起源とされ、施設園芸や水耕栽培の延長にある技術である。温室等での太陽光の利用を基本とし、人工光による補光や夏季の高温抑制技術を用いて栽培する太陽光利用型と、閉鎖環境で太陽光を用いずに栽培する完全人工光型の二つに大別される。とくに完全人工光型は病害虫の心配がないため農薬を使わず、環境にやさしい植物栽培を実現できる。化学会社や食品会社など民間企業の農業参入を促す効果も期待でき、日本では経済産業省と農林水産省が補助金などで普及を支援している。
 現在は電気代や設備費などのコストがかさむため、作物の価格が割高になる傾向があり、弱い光でも育つリーフレタス、ハーブ、野菜の苗などが中心で、栽培できる植物が限られている。今後、次世代型の太陽電池、蓄電池、LEDなどの普及で、栽培コストが低減すると期待されている。[編集部]

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