榑木(読み)クレキ

デジタル大辞泉 「榑木」の意味・読み・例文・類語

くれ‐き【×榑木】

ヒノキサワラなどから製した板材。古くは壁の心材に、近世では屋根板材に使用された。

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精選版 日本国語大辞典 「榑木」の意味・読み・例文・類語

くれ‐ぎ【榑木】

〘名〙 =くれ(榑)(一)
※深谷記(16C末)「木曾のくれ木買、わがさいまたで其儘因幡内蔵助へ申候へば」

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普及版 字通 「榑木」の読み・字形・画数・意味

【榑木】ふぼく

榑桑。〔淮南子、時則訓〕東方の極、碣石(けつせき)山より、鮮をぎ、大人の國を貫(とほ)り、東のかた日出(ところ)、榑木の地、土(邱)樹木の野に至るまで、太(たいかう)・句(こうばう)の司る二千里なり。

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改訂新版 世界大百科事典 「榑木」の意味・わかりやすい解説

榑木 (くれき)

単に榑ともいう。おもに上質のヒノキ大樹から割り出す材種であるが,榑木の用途,形態は必ずしも一様でない。791年(延暦10)当時の榑木は長さ1丈2尺,幅6寸,厚さ4寸と公定され,建築材としては壁柱に主用されたほか,公私交易の料にも供されたが,おいおい板ぶき屋根の住宅が普及するにしたがい,屋根板向き榑木の需要がさかんになる。そのような榑木の要求されるころには,それまでの乱伐によって畿内近国の山林荒廃がはなはだしくなり,榑木の供給中部地方の未開発林に期待するほかなかったので,中世末以降は木曾山伊那山,飛驒山が榑木の主産地となった。中部産の榑木は通直な上ヒノキを伐倒し,その樹幹部を適当な長さに切断した後,これを蜜柑割り(放射状)に製材するので,木口は三方何寸,一方(腹)何寸と表示されるような梯形となる。この榑木を薄板にはいで屋根板に利用するが,当時の榑木がもっぱら上ヒノキから割り出されたのは,ヒノキの耐久性がよいことのほか,市価が最も高いので運賃負担力も高かったから,遠隔地から人馬の荷物として搬出しても十分引き合ったからである。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「榑木」の意味・わかりやすい解説

榑木
くれき

丸太を四つ割にして心材を取り去った扇形の材。古くは長さ1丈2尺(363センチメートル)、幅6寸(18.2センチメートル)、厚さ4寸(12センチメートル)を定尺として壁の心材に使用されたが、近世に入ってからは、屋根板材として全国で用いられるようになった。素材と規格は採出山によって同一ではないが、主として搬出不便な中部地方、とくに信濃(しなの)伊那(いな)地方で年貢のかわりに生産されるようになってからは、しだいに短くなり、樹種もサワラが多くなった。

[浅井潤子]

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