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槃瓠 ばんこPan-hu

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

槃瓠
ばんこ
Pan-hu

中国南方の少数民族に伝わる祖先伝説の主人公である犬の名前。ミヤオ (苗) 族,ヤオ (瑤) 族,ショオ族などに伝えられており,槃瓠という犬が漢族の帝王のために手柄を立て,その娘と結婚してこれら諸民族の祖となったという。この伝説は南方民族のもっていた盤古をめぐる天地開闢神話漢民族の神話に転化していく過程と並行して,後漢から南北朝の頃にかけて,盤古の内容を変えて作られたものと考えられる。日本の『南総里見八犬伝』はこの伝説にヒントを得たものといわれる。

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百科事典マイペディアの解説

槃瓠【ばんこ】

中国南方に住むミヤオ(苗),ヤオ(瑶)などの民族の伝説中の犬の名で祖先神。《後漢書》南蛮伝には,高辛氏の世に犬戎(けんじゅう)が攻め入り,敵将の首を取った者に姫を与えるとの布告に,飼犬の槃瓠が敵将の首を持参し,姫をもらい受けて山中に入り,子孫繁栄したとある。
→関連項目ショオ族ヤオ(瑶)族

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世界大百科事典 第2版の解説

ばんこ【槃瓠 Pán hù】

中国の南方族であるミヤオ(苗(びよう))族の始祖神。《山海経(せんがいきよう)》海内北経に犬封の国があり,その郭璞(かくはく)の注に,盤瓠が戎王を殺し,高辛氏が美女を与えたが,生んだ男子は狗であったという。《捜神記》に説話として完成される。いまミヤオ族,ヤオ(瑶(よう))族が盤王として信仰するものは盤古説話と混同したところがあるが,瓠(ひさご)(ヒョウタン)も生命の宿る器で神話的性質をもつ。曲亭馬琴の《南総里見八犬伝》は,この説話にその発想を得たものである。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

槃瓠
ばんこ

中国の神話伝説に登場する霊異な犬。『捜神記(そうじんき)』(20巻本)によれば、昔、王の高辛(こうしん)氏(五帝の1人)のもとにいた老女が耳を患って治療をすると、耳の中から繭ほどの大きさの虫が出てきて、やがて毛並みのよい五色の犬に変わった。最初その虫を瓠(こ)(ユウガオ)の種子を入れるざるに入れ、槃(はん)(木製のたらい)をかぶせてしまっておいたことから、その犬は槃瓠という名をつけられた。また、ちょうどそのころ、中国は敵の侵入に悩まされていたので、王は敵の将軍の首をとってきた者に褒美として王女を与えようと公言したところ、槃瓠が敵将の首をくわえて王宮に戻ってきたので、約束どおり王は犬に王女を連れ添わせた。王女を連れた槃瓠は南方の深山の奥に分け入り、そこで六男六女をもうけたが、のちにその子供たちが夫婦となって子孫が繁栄し、蛮夷(ばんい)の祖となったという。これとほぼ同じ伝承は『後漢書(ごかんじょ)』南蛮(なんばん)伝にもあり、それによれば、槃瓠の子孫は現在の長河(湖南省)の武陵蛮(ぶりょうばん)であるという。この伝承は、本来中国南部に住む少数民族の族祖神話であったと考えられ、今日もミャオ(苗)、ヤオ(瑤)、ショオ()族などの間で広く語られている。[伊藤清司]

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世界大百科事典内の槃瓠の言及

【イヌ(犬)】より

…後世食犬の習慣はしだいに廃れたが,広東料理では今なお犬肉を珍重している。 華南のとくにミヤオ・ヤオ系の少数民族の間に,〈槃瓠(ばんこ)〉という飼犬が戦功をたてて王女をめとり,種族が発祥繁栄したと説く犬祖神話が伝わるが,これはすでに《捜神記》,《後漢書》南蛮伝に記録があり,槃瓠はこの種族のトーテムとも考えられる。華南,西南中国の漢族,少数民族に流布する〈兄弟分家〉〈狗耕田〉と呼ばれる昔話は,田を耕し,殺されても次々と植物に転生して富をもたらす犬をめぐる兄弟葛藤譚で,日本の花咲爺との類似が指摘されている。…

※「槃瓠」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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