室町時代の公卿(くぎょう)で学者の一条兼良(いちじょうかねら)の政道書。1巻。1480年(文明12)9代将軍足利義尚(あしかがよしひさ)の請いに応じて、政道の詮要(せんよう)を述べたものである。これと同じ主旨で著述したものに『文明(ぶんめい)一統記』があり、同じく義尚の母(8代将軍義政(よしまさ)の妻)日野富子に書き与えたものに『小夜(さよ)のねざめ』がある。全体は8項目で構成され、国家の公的活動に関する心がけや、将軍としての心得が説かれている。(1)祭祀(さいし)の公共性を説き、神を祀(まつ)る行事が公のことであって、私のためでないこと、(2)儒仏一致の立場から仏法を尊ぶべきこと、(3)行政の任にあたる者は清廉正直であること、(4)司法にあたっては心正直で私欲なく道理に基づいて善悪を分別すべきこと、(5)将軍側近の者を選ぶ心得、(6)足軽(あしがる)は「超過した悪党」であるので長期任用を停止すべきこと、(7)女性の政治参与に関しては道理に明るい人であるべきこと、(8)将軍として威勢のあるべきこと――などが、歴史や和漢の故事によって強調されている。これらはいずれも観念的な道徳論により、人倫的理想が説かれるが、現実的な具体策とはなりえなかった。しかし当時の世相や公家の政治思想を知ることができる。
[小澤富夫]
『塙保己一編『群書類従 雑』(1929・群書類従完成会)』▽『同文館編集局編『日本教育文庫1』(1910・同文館)』▽『滝本誠一編『日本経済大典1』(1928・史誌出版社)』
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一条兼良(かねよし)が室町幕府9代将軍足利義尚(よしひさ)の求めに応じ,1480年(文明12)7月に奉じた政道書。本書述作のきっかけは「文明一統記」と同様,義尚が政治の要諦や心構えを学識の深い兼良に尋ねたことに答えたもの。諸国の守護には廉直な人物を選任すること,訴訟を扱う奉行人や側近者を選択すること,足軽の停止,簾中(れんちゅう)政治など8カ条からなる。当時の政治・社会の実情や貴族の世相観がうかがえる。「群書類従」所収。
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