精選版 日本国語大辞典 「樽屋」の意味・読み・例文・類語
たる‐や【樽屋】
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江戸の町年寄(まちどしより)、地割役、町名主の三家。先祖は刈屋(かりや)(愛知県刈谷市)の城主水野氏で、水野弥吉(やきち)が1575年(天正3)に長篠(ながしの)の合戦で活躍したとき、樽の姓を徳川家康から与えられたという。家康の江戸入りののち、弥吉(三四郎康忠(やすただ))は他の2人の年寄(奈良屋、喜多村(きたむら)両家)とともに町割など多方面の業務に専念した。三四郎の長男藤左衛門忠元(とうざえもんただもと)以後、樽屋は代々町支配業務(町年寄)を世襲した。二男惣兵衛(そうべえ)は日本橋の通(とおり)(南)一丁目の町名主を勤めた。さらに1712年(正徳2)に、町方の土地測量業務である地割役が、大工頭木原内匠(たくみ)から町名主の樽屋三右衛門(さんえもん)に交代した。以後三右衛門家は地割役の専業となり、町名主樽屋と分離独立した。幕末まで三家は、それぞれの業務を世襲した。
[吉原健一郎]
『吉原健一郎著『江戸の町役人』(1980・吉川弘文館)』
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…桶結師(おけゆいし)とか桶大工ともいわれた。樽をつくる樽屋と分けて呼ぶこともあるが,両者を区別せずに江戸では桶屋,京坂では樽屋と呼ぶことが多いと,《守貞漫稿》は書いている。桶はスギやサワラの細長い板を円形に並べて側(がわ)とし,板の底をつけ,細長い割竹の箍(たが)でしめた造り物で,水桶,菜桶,鮨桶といった容器や火桶,腰桶といった調度として,古代中期には一般にも使われていた。…
※「樽屋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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