江戸町年寄(読み)エドマチドシヨリ

デジタル大辞泉 「江戸町年寄」の意味・読み・例文・類語

えど‐まちどしより【江戸町年寄】

江戸町奉行配下に属した町役人お触れ伝達名主なぬし任免など江戸市政の全般掌握していた。樽屋たるや奈良屋(のち館氏と改称)・喜多村三家世襲

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精選版 日本国語大辞典 「江戸町年寄」の意味・読み・例文・類語

えど‐まちどしより【江戸町年寄】

  1. 〘 名詞 〙 江戸町奉行の配下に属した町役人御触(おふれ)の伝達、町方の諸調査、新開地の地割り、町名主の任免・監督、諸運上銀・地子銀などの上納、諸組合仲間の監査などを通じて、江戸市政の全般を把握していた。また、神田玉川上水の管理、関口・小日向・金杉の代官をも兼任した。樽屋、奈良屋、喜多村の三家が天正一八年(一五九〇)より世襲。御役所。
    1. [初出の実例]「樽屋藤左衛門由緒之事 江戸町年寄之三家は、名誉やや人口に有之候。侯伯といへども平視し給ふことなく、尤いみじき家柄なり」(出典:江都管鑰秘鑑‐一〇・享保一〇年(1725)八月(古事類苑・官位五七))

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「江戸町年寄」の意味・わかりやすい解説

江戸町年寄
えどまちどしより

町奉行(まちぶぎょう)のもとで江戸の町を支配した役人。初めは江戸宿の年寄とよばれたが、のち幕府成立前後から町年寄と称した。奈良屋(館(たち)氏)、樽屋(たるや)(樽氏)、喜多村(きたむら)の3家が代々世襲し、本町(日本橋)の角屋敷を拝領し、その役宅で事務に従事した。このほか市中数か所に拝領地があり、その地代を収入源とした。江戸の町人の筆頭として、正月には江戸城で将軍に拝謁することができた。町年寄の職務は、(1)名主への触(ふれ)の伝達、新地の地割や請渡し、人別の集計など町政一般にかかわる業務、(2)商人仲間の名簿を保管し、物価統制を行うなど、商工業者の掌握にかかわる業務、(3)幕府(町奉行)の諮問を受け、各種の調査・答申をなし、町人の紛争の調停、請願の調査などを行う業務に大別できる。このほか初期には玉川・神田上水などの水道管理を行っていた時期もあった。1868年(明治1)新政府の鎮台府付となったが、翌年正月免職させられた。

[吉原健一郎]

『吉原健一郎著『江戸の町役人』(1980・吉川弘文館)』

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「江戸町年寄」の解説

江戸町年寄
えどまちどしより

近世都市江戸の惣町を統轄する町役人。喜多村・奈良屋・樽屋の3家が世襲した。職務は町奉行所からの町触の伝達,区画整理や武家地・寺社地・町人地・代官支配地の間の地面受渡しの際の立会いと諸手続きの指揮,宗門改・人別改,仲間組織の結成を促進したり仲間の構成員変更の届出など商人・職人の統制,町方政策の事前調査,民事紛争の調停事務という多様なものであった。そのほか,江戸周辺の関口村(現,文京区)以下3カ村の代官も兼帯し,水道の管理を行った。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「江戸町年寄」の意味・わかりやすい解説

江戸町年寄
えどまちどしより

江戸の町役人。天正 18 (1590) 年設置。町奉行に属し,江戸の自治行政を司った。元禄6 (1693) 年までは神田,玉川上水支配,関口,小日向,金杉3村の代官も兼務。また株仲間の統制も行なった。樽屋,奈良屋,喜多村の3家が世襲し「三町年寄」といわれ,明治1 (1868) 年廃止。

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