機会費用(読み)きかいひよう(英語表記)opportunity cost

翻訳|opportunity cost

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

機会費用
きかいひよう
opportunity cost

与えられた条件の下で最善のものを選択した場合,残された選択物 (犠牲となったもの) のなかの最善のものの価値を指す。一般に多数の用途をもつサービスをある特定の用途に利用する場合,それ以外の用途は利用されずに犠牲となっている。この犠牲となった用途を利用したら得られたであろう収益のうち最も値の大きいものである。機会費用概念は,ある経済活動,つまり財・サービスの用い方の効率を判定する際の基準となるものであり,経済学において用いられる「費用」という概念は,すべてこの機会費用に基づくものである。

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百科事典マイペディアの解説

機会費用【きかいひよう】

ある経済行為を選択することによって失われる,他の経済活動の機会のうちの最大収益をさす経済学上の概念。opportunity costの訳語。例えば,持家に住む人は,それを借家として貸した場合に得られるはずの家賃収入を失っているので,その分だけの住居費がかかっているものと考える。

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農林水産関係用語集の解説

機会費用

労働等の生産要素を特定の用途に利用することについて、(その特定分野以外の)他の分野に投入したならば得られたであろう最大の貨幣額のこと。例えば、大学に進学する機会費用とは、大学に進学せずに働いた場合の給料などが当てはまる。

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世界大百科事典 第2版の解説

きかいひよう【機会費用 opportunity cost】

ある財(たとえば自動車)を生産するには,さまざまな資源(鉄,ガラス,ゴム等)の投入が必要である。ある財が生産されたということは,資源を他の用途に用いることを犠牲にしたことにほかならない。経済学では,ある財を生産するための費用は,その財を生産したためにこうむったこのような犠牲の大きさではかる。たとえば自分の持家に住んでいる人は,自分の家を他人に貸した場合に得られるはずの家賃収入(帰属家賃)を犠牲にしているので,その分だけの住居費がかかっている,と考える。

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大辞林 第三版の解説

きかいひよう【機会費用】

財をある目的に用いたために放棄された他の利用方法から得られるであろう利得のうち最大のもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

機会費用
きかいひよう
opportunity cost

あることを行ったことで見過ごした機会に発生した費用。機会損失ともいう。一定量の生産要素を投入してある生産物を生産することは、もし生産しようと思えばできたであろう他の生産物の生産を断念することを意味する。この場合、生産の機会が見過ごされた生産物のうちで最大のものを、実際に生産された生産物の生産費用と考えることができる。このように、あることをするために犠牲にし、見過ごした機会に源をもつ費用のことを機会費用という。たとえば、ある企業の経営者が年当り6万円の収益を得ることが期待できる投資を自己資金100万円で行う場合には、もしそれを銀行などの金融機関や他企業に貸し付けたならば得られたであろう利子を犠牲にしていることになる。したがって、当該投資から得られる収益は、もし当該投資を行わなければ、貸付等を行うことで得られたであろう利子を上回っていなければならない。つまり、貸付等を行うことで得られたであろう利子(の最高額)が年当り6万円以上であれば、自社に投資するより、外部に貸し付けたほうが有利ということになる。ここで「貸付等を行うことで得られたであろう利子(の最高額)」が機会費用であり、投資を行うか否か(投資判断)に大いに影響を与えることになる。また、機会費用的な考え方をとると、主婦の家事労働に対する賃金はゼロではないであろう。なぜなら、主婦が家庭にとどまることは、もし職業をもったならば得られたであろう賃金所得稼得の機会を犠牲にすることを意味するからである。このような観点からすると、主婦の家事労働サービスも国民所得に計算されるべきことになる。さらに機会費用の考え方は、経済理論の分析道具のなかでも重要なものとして取り入れられている。たとえば、消費者理論における無差別曲線の考え方にも取り入れられている。消費者が予算枠のなかで二つの商品をそれぞれ任意のある数量だけ購入しようと考えていたとする。しかしここで、一方の商品Aだけを当初の数量よりも1単位だけ増やしたい場合、他方の商品Bは当初考えていた数量に比べていくらかあきらめる必要が生じることになる。このとき、商品Aを1単位増やしたことによって増加した満足度は、商品Bを当初の数量よりも減少させたことによる機会費用に相殺されることで、事後の組み合わせ数量は異なるものの、効用水準は同じになる。したがって、商品Bの機会費用がもっと大きいと考えている別の人が存在すれば、あきらめる商品Bの数量は最初の人よりも少なくなるはずである。このような考え方は生産理論における生産可能性曲線や等産出量曲線、厚生経済学における効用変換曲線や社会的厚生関数などにもみられる。[内島敏之・前田拓生]

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精選版 日本国語大辞典の解説

きかい‐ひよう キクヮイ‥【機会費用】

〘名〙 ある生産要素を特定の用途に利用する場合に、それを別の用途に利用したならば得られたであろう利益の最大額を指し、実際の生産額の費用とする概念。

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世界大百科事典内の機会費用の言及

【投機】より

…たとえば,自己資金で安いと思われるときにドルを買って,高くなったときに売ろうとすれば,その期間に安全な資産(たとえば自国通貨建ての預金)に投資すれば得られたであろう利子を失う。これは機会費用opportunity costと呼ばれる。いま述べたケースで,自己資金でなく資金を借り入れてドルを買えば,借入利子が投機の費用となることは自明である。…

【経済学説史】より

… メンガーとその後継者たちのオーストリア学派にとっては,ワルラスの場合と異なり,効用価値説の意義は大きい。費用とは失われた効用であると考える機会費用の概念が説かれ,生産要素の価値はそれから生産される消費財の効用に基づく価値が帰属すると考えられた。またワルラスと異なり,メンガーは不完全な市場に関心をもち,商品の販売力,貨幣の販売力を考察した。…

【投機】より

…たとえば,自己資金で安いと思われるときにドルを買って,高くなったときに売ろうとすれば,その期間に安全な資産(たとえば自国通貨建ての預金)に投資すれば得られたであろう利子を失う。これは機会費用opportunity costと呼ばれる。いま述べたケースで,自己資金でなく資金を借り入れてドルを買えば,借入利子が投機の費用となることは自明である。…

【費用】より

…一般に費用とは,家計や企業などの経済主体がある目的をもって商品・サービスを市場で購入するときに支払わねばならぬ代価である。
[種類]
 費用には,大別して貨幣的費用,機会費用opportunity costおよび帰属費用imputed costがある。貨幣的費用は,上記の代価を貨幣で実際に支払う費用である。…

※「機会費用」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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