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機織淵 はたおりぶち

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

機織淵
はたおりぶち

ところにより機織池ともいう。梅雨期などの静かな雨の日,池やの底から機を織る音が聞えてくるという伝説機織りの下手な嫁が姑に責められて淵に投身したという話や,機織りの上手であった娘が水神に誘われて淵に入り,いまも水底で機を織っているなど,多くの話がある。また竜宮の乙姫山姥が機を織っているのだという話もあるが,このような伝説のもととなっているのは,古い時代に,祭りのとき処女が水辺の忌機屋で神のために機を織った習俗であろうと思われる。

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百科事典マイペディアの解説

機織淵【はたおりぶち】

池や淵の底に機を織る女がいて,その音が大晦日(おおみそか)の夜や雨の日に聞こえるという伝説。機織の上手な美しい娘が水神に誘われたとか,下手な女が姑(しゅうとめ)に責められて入水したという。
→関連項目伝説

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世界大百科事典 第2版の解説

はたおりぶち【機織淵】

淵の底に機を織る女性がいる,または,機織の音が聞こえてくるという伝説。広く各地に分布している。岩手県二戸郡浄法寺町では,みかみという長者の妻が若い僧に懸想して果たせず,蛇身になって淵に入り,水底で機を織っていると伝える。深夜その淵の側を通ると白い布が干してあるとか,淵に潜って機を織っている姿を見た者がいるという。古く,祭りの時には,人里離れた神聖な淵の傍らに棚を設け,選ばれた村の乙女がそこで神衣を織り,訪れ来る神を迎える習俗があったと想定されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

機織淵
はたおりぶち

淵の底に機を織る女が住んでいる、または、そこから機を織る音が聞こえてくるという伝説。全国的に広く分布している。福島県耶麻(やま)郡西会津町では、源平合戦のころ、以仁王(もちひとおう)の後を追って会津入りした機織姫が、その死を知って沼に身を沈めた。以来、御前沼とよばれ、水底から機を織る音が聞こえるようになったと伝えている。地元では毎年5月5日に沼のほとりで姫の供養をしたという。岩手県二戸(にのへ)市では、長者の妻が蛇身になって淵に入り機を織っていると伝える。深夜、淵の傍らに白布を干してあるとか、潜って機を織る姿を見た者もいるという。古代においては、祭りのおりに人里離れた神聖な水上に架けた桟敷(さじき)で、選ばれた村の乙女が神のために御衣(おんぞ)を織った習俗があったといわれる。こうした習俗がのちに、水底で機を織る女の伝承を生む基盤となったのであろう。長野県や高知県からは、機具もろとも入水(じゅすい)したと伝える例も報告されており、筬(おさ)を売り歩いた人々との関与も想定される。ただ、現在の伝説の地が直接こうした信仰的背景をもっているわけではない。むしろ、この伝説が神秘感の漂う淵や沼に付着しやすい性質を有している結果であろう。[野村純一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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