東京都の西端、西多摩郡(にしたまぐん)にある村。関東山地にあり、三頭山(みとうさん)(1531メートル)を最高に1000メートル級の山に囲まれている。中央部を東西に走る浅間尾根によって北秋川、南秋川の二つの谷に分かれ、合する所に中心集落の本宿(もとじゅく)がある。村域の92%が山林でヒノキ、スギなどの森林に覆われていることが地名とかかわりがある。いまも多摩林業の中心地である。江戸時代、本宿には口留(くちどめ)番所が置かれ、通行人を取り締まっていた。南秋川の最上流の数馬(かずま)は武田氏の落武者集落といわれ、多層構造の兜造(かぶとづくり)民家がある。JR五日市(いつかいち)線の武蔵(むさし)五日市駅(あきる野市)からバスが通じる。数馬から北方の奥多摩湖へ1973年(昭和48)奥多摩有料道路(1990年無料開放。現、奥多摩周遊道路)が開かれた。また、南に接する山梨県上野原市との間に、1990年(平成2)甲武トンネルが開通した。孤立的環境のため古い習俗を残し、自然美と相まって観光地として知られる。北秋川の谷奥の藤原には老杉とイヌグスのある春日神社(かすがじんじゃ)、国指定重要文化財である古い民家の小林家住宅がある。北秋川の支流払沢(ほっさわ)には全体の高度差約60メートルの払沢の滝、高さ約100メートルの岩壁がそびえる神戸(かのと)岩がある。南秋川の谷の上川苔(かみかわのり)には、埋葬地とお参りする所を別にする両墓制の風習が残っている。人里(へんぼり)には嘉元(かげん)3年(1305)銘記の板碑(いたび)や石仏が多く、笹野(ささの)の神明社には、都の無形民俗文化財に指定されている伝統芸能の「式三番(しきさんば)」が伝えられている。面積105.41平方キロメートル、人口2003(2020)。
[沢田 清]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…磐梯山の北麓と北斜面の大半を占め,西部は会津盆地北東端にあたる。江戸時代は会津藩領で,檜原は米沢街道の宿場町として発展したが,街道が大峠を通るようになって衰えた。早稲沢,小野川,細野,雄子沢などは木地屋集落であった。…
※「檜原」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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