欠米(かんまい)(読み)かんまい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「欠米(かんまい)」の意味・わかりやすい解説

欠米(かんまい)
かんまい

「かけまい」ともいう。(1)不足または損耗した米。(2)江戸時代、年貢廻米(ねんぐかいまい)の際、潮風に当たって更米(ふけまい)や沢手米(さわてまい)などとなって欠け減りが生じ、蔵納めのときに各俵の量目が不足した場合、その不足分を補うために積み廻(まわ)した米。初めは欠け減りより多くの欠米を積み廻したが、江戸中期からは1石につき欠米3升の割合で積み廻した。廻米を蔵納めするとき、米の品質や量目を検査するが、そのとき1俵の量目が不足していた場合は、欠米のうちより各俵に差米(さしまい)をして規定の量目とした。差米をしてもなお残った米は上乗(うわのり)(積み荷の管理責任者)に返され、販売された。その勘定は、蔵役所と支配の代官所へ差し出され、名主のもとへも伝えられた。また江戸中期以降になると、その勘定が板札に書かれ、年貢掛札同様に名主の門口に掛けられる場合もあった。

[川鍋定男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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