上乗(読み)ジョウジョウ

デジタル大辞泉 「上乗」の意味・読み・例文・類語

じょう‐じょう〔ジヤウ‐〕【上乗】

[名・形動]
この上なくすぐれていること。また、そのさま。上々。「上乗の出来栄え」
仏語。最上の乗り物、すなわち教えである、大乗のこと。
[類語]結構良い良質上質上等優良佳良純良良好見事立派上上

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「上乗」の意味・読み・例文・類語

うわ‐のりうは‥【上乗】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 中世、水先案内人。また、その権利。
    1. [初出の実例]「大浦又菅浦うわのりたる間」(出典:菅浦文書‐文安六年(1449)二月一三日・菅浦惣庄置書)
  3. ( ━する ) 江戸時代、運賃積みの廻船に同乗し、目的港に着くまで荷主に代わって積み荷を管理すること。また、その責任者。悪天候による投荷やその他船中の事柄一切に関し、船頭は上乗と協議する必要があった。上乗人。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  4. ( ━する ) トラックなどの積み荷の上に乗っていくこと。また、その人。
    1. [初出の実例]「その後はトラックの上乗りや夜番の口をかけてこない」(出典:青い月曜日(1965‐67)〈開高健〉二)
  5. ( ━する ) 他人の計画やすすめに乗ること。
    1. [初出の実例]「引ぱられたから、是非なく上乗(ウハノリ)で往ったのだ」(出典:滑稽本・古今百馬鹿(1814)上)
  6. ( ━する ) 前からあったものの上に付け加えること。
    1. [初出の実例]「又候利足のために借金の上乗(ウハノリ)をする事に陥るゆゑ」(出典:開化問答(1874‐75)〈小川為治〉二)

じょう‐じょうジャウ‥【上乗】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 仏語。大乗のこと。小乗下乗というのに対し、大乗を上乗という。
    1. [初出の実例]「一心上乗なるゆえに、直指人心見性成仏なりといふ」(出典:正法眼蔵(1231‐53)仏教)
    2. 「真言上乗(ジャウセウ)の秘法の中に、如何なる法か」(出典:源平盛衰記(14C前)一)
    3. [その他の文献]〔摂大乗論釈‐一〕
  3. ( 形動 ) もっともすぐれていること。一番よいこと。また、そのさま。最上。上々。
    1. [初出の実例]「不必抗衡古人。倶争上乗而一片酣古之気」(出典:随筆山中人饒舌(1813)下)
    2. 「吾輩は猫として決して上乗の出来ではない」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉一)

うわ‐のせうは‥【上乗】

  1. 〘 名詞 〙 前からあった物の上に付け加えて乗せること。おもに、賃上げなどで、ある金額を追加することにいう。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「上乗」の意味・わかりやすい解説

上乗 (うわのり)

江戸時代,商船に乗り組み,目的港まで積荷の管理に当たる荷主の代理人をいう。遭難時の〈はね荷〉やそのほか船中のいっさいのことに関し,船頭は上乗と協議する必要があった。古代には上乗の語は見られない。律令制下,調庸などの官物輸送の総轄者である綱領綱丁こうちよう)などはさしずめ古代の上乗といえよう。綱領は下級官吏,綱丁は富裕人で,積荷の損害などに責任を負わされていた。律令制の衰退後には,封戸(ふこ)からの封物輸送船や国衙領からの年貢船などに綱丁などが乗り組んでいる例が,東大寺文書などに散見される。その後荘園年貢輸送にさいし,荘園領主側で代理人を乗船させることがあったが,一般には梶取・船頭がいっさいの責任者となることが多かった。南北朝期,商品輸送の発達に伴い,江戸時代のような上乗が出現したものと思われるが明証がない。室町時代の上乗とはむしろ水先案内や海上護衛人を指すことが多い。瀬戸内海琵琶湖でおもに海賊衆が商船に乗り組んでこれに当たり,莫大な利益をあげていた。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

普及版 字通 「上乗」の読み・字形・画数・意味

【上乗】じようじよう

駟馬

字通「上」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android