日本大百科全書(ニッポニカ) 「武夷山」の意味・わかりやすい解説
武夷山
ぶいさん / ウーイーシャン
中国、福建(ふっけん)省北西部の県級市。崇陽渓(すうようけい)上流域の武夷山脈南麓に位置する。武夷山脈は本市域でもっとも高く、最高の黄崗山(こうこうさん)は2158メートルで、江西(こうせい)省鉛山(えんざん)県との境界にあたる。南平(なんへい)地級市に属する。人口24万0555(2015)。古くから武夷山脈の分水関を経て江西省上饒(じょうじょう)市方面に通じる交通の要地で、峰福線(上饒市横峰(おうほう)―福州(ふくしゅう))のほか、合福高速鉄道(合肥(ごうひ)―福州)も通じる。市街近郊には軍民共用の武夷山空港がある。宋(そう)代以来崇安(すうあん)県とよばれていたが、1989年武夷山市となった。市政府所在地は崇安街道。
1300年の歴史をもつ茶園地帯で、「武夷岩茶(ウーイーイエンチャー)」の名で全国に知られている。市内には無煙炭の炭鉱があり、水力発電所も建設された。食糧生産は水稲を主とする。林産物はマツ、スギ、タケを主に、松脂(まつやに)、タケノコ、シイタケを産し、製茶のほか紙漉(す)きも行われる。
本市と光沢(こうたく)県、建陽(けんよう)区の間にある武夷山自然保護区は、1979年国際生物圏保護ネットワークの重点自然保護区に選ばれた。面積566平方キロメートル。黄崗山などの山岳を含み、きわめて多くの生物種の生存が確認されている。1999年には世界遺産の複合遺産(文化、自然の両方の価値がある遺産)として登録されている(世界複合遺産)。
[河野通博・編集部 2017年3月21日]