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水中翼船 すいちゅうよくせん hydrofoil boat

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

水中翼船
すいちゅうよくせん
hydrofoil boat

船底に水中翼をつけた高速船。走っているとき,水中翼によって浮揚力をつけ,船体を水面上に出して,抵抗を減らすようになっている。出発後しばらくは普通の船のように水面に浮んだ姿で航行し,速力を増すにつれて水中翼に水流が働き,ちょう飛行機の翼に気流が働くのと同じ効果により浮揚力が増大して,次第に船体は押上げられ,水上を 35kn以上の高速で滑走するようになる。

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デジタル大辞泉の解説

すいちゅうよく‐せん【水中翼船】

船体の喫水線下に翼を付けた船。これによって揚力を発生させ、船体を浮き上がらせて高速で進む。ハイドロフォイル

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百科事典マイペディアの解説

水中翼船【すいちゅうよくせん】

船体の下の前・後部に水中翼(ハイドロフォイル)をつけ,航走中,これに働く揚力で船体を浮上させ,水の抵抗を減らすようにした高速船。停止時,低速時には船体にも喫水があるが,増速につれて船体は浮上,水中翼だけで支持される。
→関連項目ジェット推進船

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世界大百科事典 第2版の解説

すいちゅうよくせん【水中翼船 hydrofoil boat】

船体下部の前後に,支柱(ストラット)によって取り付けられた水中翼をもち,水中翼の発生する揚力により船体を水面上に浮揚させて航走する船。水中翼をもつ船は,1861年にイギリスで初めて浮上航走したといわれ,1919年には,約70ノットの高速力を出した記録がある。近年の実用船では経済性などの理由により,船速は35~60ノット程度である。 水中翼(ハイドロフォイルhydrofoilという)の断面形状は流線形で,流れに対して迎え角をもつように航走すると,飛行機の翼と同じように,翼の上下面の圧力差により揚力を発生する。

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大辞林 第三版の解説

すいちゅうよくせん【水中翼船】

船体下部に翼を取り付けた船。航走中、翼に揚力が生じて船体を水上に押し上げるので水の抵抗が減り、高速を出すことができる。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

水中翼船
すいちゅうよくせん
hydrofoil craft

高速船艇の一種。船体の下部から出た数本の支柱の下端に、船底面とほぼ平行に取り付けた翼板(水中翼。ハイドロフォイルともいう)によって生ずる揚力で船体を水上に持ち上げ、船体に受ける水の抵抗を減じて高速を得ようとするもの。原理的には航空機と同じである。前進の始めにおいては、一般の船と同様に船体の浮力で水に浮いているが、速力が増すにつれて水中翼の揚力が大きくなり、船体がしだいに押し上げられて水面を滑走し、さらに速力が増すと船体は水面から離れて、水中には翼板と推進器のみを残して高速運航する。[茂在寅男]

特色

水中翼船は、(1)同馬力の一般船の約3倍の速力が得られる、(2)型によっては波浪の影響が少なく安定して高速が得られる、(3)自船がおこす波が非常に小さく周囲にかける迷惑が少ない、(4)運動性能がよく、旋回半径が小さく、発進や停止のための航走距離が短い、などの特長のために急速に普及した。その反面、(1)外洋航路には向かず、(2)波しぶきが激しく、(3)エンジン音や振動がうるさく乗り心地がよくない、などのことから普及には限界を生じた。また船体を大型にすると水中翼も大面積にせざるをえず、高速化には限界が生ずる。したがって、一般的には全重量400トンから500トン程度までとされている。[茂在寅男]

沿革

実験船としては1906年、イタリアの技術者フォルラニーニEnrico Forlanini(1848―1930)が、スイスとの国境にあるマッジョーレ湖で試作実験を行ったのが最初である。この船は数枚の翼板を階段式に重ねた方式で、38ノット(時速約70キロメートル)の高速を得た。3年後、アメリカで一段水中翼方式の試作に成功し、1927年にはドイツで水面貫通方式が成功している。実用船としては、スイスのシュプラマール社が1952年に第一船を建造し、その後イタリア、ソ連、アメリカ、日本などで建造されるようになった。商業用としては、1956年、イタリア本土とシチリア島を結ぶ航路に就航したのが最初である。1957年にはソ連で最初の大型指向のコメタ‐M型(全長35メートル、幅6メートル、満載排水量59トン、速力32ノット、船客定員116人)が進水し、バイカル湖などで就航のほか、イタリアやモロッコにも輸出された。これを契機に各国で大型化が進み、1965年にアメリカのシアトルで進水した海軍用のプレーンビューは、満載排水量314トンで50ノットの高速を記録した。デンマーク、マルモ社の連絡船超PTS150‐Mkは、165トン、250人の旅客を乗せ速力40ノットでスウェーデン―デンマーク間に就航した。
 水中翼船は高速性を生かして、対潜水艦用や水上艦艇迎撃用ミサイル艇など軍用にも使われている。アメリカのミサイル水中翼艇トーラス号(長さ40.5メートル、幅8.6メートル、速力48ノット、ウォータージェット推進、乗員21人)などが代表的である。[茂在寅男]

型式と構造

高速航走時に水中翼の全部が水中に没している全没型と、翼の一部が水面上に出る半没型の二つがある。また翼の構造から、固定型と揚降型がある。
 全没型はさらに、深度効果翼板型と潜没翼板型に分けられる。前者は浅海用で、水面下浅い一定の深度を自動的に保つようになっており、静水のみで有効である。後者は比較的波の荒い海面でも安定を得る効果があり、翼傾斜を自動的に調節する装置をもち、翼を水中深く潜没させる。両型式とも翼にフラップflap(昇降舵(だ))を備えていて、効果を高めるようになっている。
 半没型は翼板のどこかで水面を貫くので、水面貫通型ともいわれる。階段式または梯子(はしご)式翼板型とV字形翼板型がある。前者は、何枚もの翼板を階段のように縦に重ねて取り付け、速度があがるにしたがって下部の翼板だけが水中に残る方式である。後者は、上部の開いたV字形かW字形の翼板をもつ方式で、速力の増大にしたがって浮かび上がり翼面積が減少する。船体傾斜時には復原作用があり、旅客用にもっとも広く普及した型である。
 揚降式翼板は、高速で水中翼の揚力によって航走するフォイルボーンfoil-bornと、航続距離を要求される場合の船体浮力にのって航走するハルボーンhull-bornとの切り替えが自由にできるものである。このため、水中翼板取付け用支柱の根元が丁番(ちょうつがい)式になっており、翼板を水面上に引き上げることが可能である。[茂在寅男]

日本での水中翼船

1962年(昭和37)日立造船がスイスのシュプラマール社と技術提携して製造を開始したPT20型が最初で、以来他社でも製造、おもに伊勢(いせ)湾などの湾内や瀬戸内海などに導入された。大型では、アメリカのボーイング社が開発したジェットフォイル・ボートを1977年に佐渡汽船会社が日本で初めて導入、新潟―両津港間に就航した。現在、同航路には「ぎんが」(277.32総トン、全長23.44メートル、46.02ノット、船客定員260人)ほか2隻が就航している。[茂在寅男]

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世界大百科事典内の水中翼船の言及

【舟∥船】より

…バラストタンクへの注排水によって潜水,浮上を行い,細かい深度の調整には潜舵と横舵を用いる。 水中翼船は浮力の代りに水中翼に生ずる揚力によって船の重量を支える。水面貫通型の水中翼をもつ場合,船が傾斜すれば傾斜した側の水中翼面積が反対側より大きくなるため復原力を生ずる。…

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