水素エネルギー(読み)すいそエネルギー(英語表記)hydrogen energy

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

水素を燃料としたエネルギー。人類究極のエネルギーといわれる。それは水素が地球上で普遍的かつ豊富に存在すること,燃焼させても水が生成するのみで,きわめてクリーンな燃料であることなどによる。水素エネルギーシステムの実現によって,石油文明時代から水素文明時代に変わるとまでいわれる。しかし,現状では,水素の製造には主に電気分解法が用いられるが,本格的なエネルギー源として利用するにはコストが高い。大量・安価な水素製造法の開発が必要である。また,水素はパラジウムなどの金属体積で 850倍もの量が吸蔵されるという特徴を有するが,水素吸蔵合金を活用したケミカル・ヒートポンプの研究開発も進みつつある。

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知恵蔵の解説

水素と酸素は燃焼するとを出して水になり、大気汚染の問題は生じず、燃料電池で発電すれば高い発電効率が期待できる。特に固体高分子型燃料電池の小型化が進展したため、水素エネルギー利用への期待が高まっている。水素は単体では自然界にないので、化石燃料や再生可能エネルギーから製造する必要がある。再生可能なエネルギーから製造した水素がグリーン水素バイオマスから水素を取り出すと二酸化炭素排出するが、この場合の二酸化炭素はカーボン・ニュートラル水力発電、太陽光発電、風力発電による電力で水を電気分解して水素を製造すれば二酸化炭素の排出はなく、持続可能になる。これに対して、化石燃料の天然ガス、石油、石炭質して水素を作る場合は二酸化炭素を排出するうえ資源は有限なので、グリーン水素とは呼ばない。

(槌屋治紀 システム技術研究所所長 / 2007年)

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

水素は化石燃料やバイオマス、水などさまざまな原料から製造できる。化石燃料から作ると二酸化炭素(CO2)が発生するが、エネルギー効率は化石燃料を燃やすより高い。燃料電池自動車は水素を燃料に酸素との化学反応を利用して電気をつくりモーターで走る。この時にCO2などを出さない。家庭用燃料電池システムでは発生した熱も給湯に活用でき、省エネが図れると期待されている。

(2011-02-16 朝日新聞 朝刊 1社会)

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百科事典マイペディアの解説

水素が燃焼して空気中の酸素と反応する際に発生する熱エネルギー。水素はそのままの形では自然界に存在しないため,水や石油などを分解して取り出さなければならない。水は自然界に大量に存在し,化石燃料と違って資源量に限りがなく,反応後にはまた水になるので環境への負荷もない。また単位当たりの熱量ガソリンの3倍と高く,貯蔵輸送容易,利用範囲が広いなどのメリットがあり,石油に代わる人類究極のエネルギーとも言われている。ただし,水素を大量かつ安価に製造する技術がないため,現在はアンモニア合成石油精製など化学工業用の原料,ロケット用燃料などに用途が限られている。将来的には航空機や自動車の燃料,燃料電池,半導体精製,製鉄,食品など多様な分野への導入が検討されており,技術開発は国内の新エネルギー政策において重要な地位を占めている。

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大辞林 第三版の解説

水素を酸化するときに発生するエネルギー。原料となる水素は、火力・原子力等の一次エネルギーを利用して、水や石油からつくられる。酸化されて水のみを生ずることから、クリーンなエネルギーとされる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

水素を燃料とする新エネルギーの一つ。水素は、エネルギーを取り出す際の反応生成物が水のみであり、クリーンで高効率なエネルギー源であるが、多くの場合化石燃料を原料として製造されるため、製造過程において二酸化炭素を排出する一面がある。水素は常温でも酸素との電気化学的活性があり、高い電気エネルギーへの変換が有利であるため、燃料電池として応用されている。これまでにリン酸型、溶融炭酸塩型などが発電設備として開発され、商用または実証運転に至ったが一般には普及していない。1993年にカナダのバラード・パワー・システムズ社が水素を燃料とし、固体高分子型燃料電池で駆動されるバスを発表して以来、世界中で燃料電池車の開発が盛んになった。日本でも2000年(平成12)に開始された新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の固体高分子形燃料電池システム普及基盤整備事業は、自動車用途を主眼とするものであった。
 日本の国家的水素プロジェクトは、1974年(昭和49)に開始された「サンシャイン計画」に始まり、1993年(平成5)には「WE-NETプロジェクト」に集約され、NEDO事業に引き継がれた。並行して水素の製造・貯蔵技術や安全対策の研究が行われ、2003年には安全基準が制定された。家庭用定置型燃料電池は、メタン、プロパンまたは灯油を改質した水素を燃料とし、固体高分子型または固体酸化物型燃料電池で発電するものである。2005年に大規模実証事業が開始されるとともにメーカー数社が市販を開始し、2009年には「エネファーム」の統一名称が採用され普及しつつある。
 水素エネルギーを有効に活用する社会システムを構築するには、長期的な研究開発、導入指針が必要であり、2002年アメリカエネルギー省のロードマップ(National Hydrogen Energy Roadmap)、2005年NEDOによる「燃料電池・水素ロードマップ」などが策定された。経済産業省が2008年3月に取りまとめた「Cool Earth-エネルギー革新技術計画」にも水素エネルギー普及のためのロードマップが示されている。[伊藤葉子]

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