水素エネルギー(読み)すいそエネルギー

共同通信ニュース用語解説 「水素エネルギー」の解説

水素エネルギー

水素は水のほか石油天然ガスメタノールエタノールなどさまざまな資源から製造できる。太陽光風力の再生可能エネルギーを使って水を電気分解することで二酸化炭素(CO2)を出さずに製造したものを「グリーン水素」と呼ぶ。化石燃料からつくる水素は、製造工程でCO2を排出する「グレー水素」、排出を抑えた「ブルー水素」に分けられる。日本は開発と普及に向けた「水素基本戦略」を2017年に取りまとめ、今年6月に改定。(ドバイ共同)

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百科事典マイペディア 「水素エネルギー」の意味・わかりやすい解説

水素エネルギー【すいそエネルギー】

水素が燃焼して空気中の酸素と反応する際に発生する熱エネルギー。水素はそのままの形では自然界に存在しないため,水や石油などを分解して取り出さなければならない。水は自然界に大量に存在し,化石燃料と違って資源量に限りがなく,反応後にはまた水になるので環境への負荷もない。また単位当たりの熱量ガソリンの3倍と高く,貯蔵輸送容易,利用範囲が広いなどのメリットがあり,石油に代わる人類究極のエネルギーとも言われている。ただし,水素を大量かつ安価に製造する技術がないため,現在はアンモニア合成石油精製など化学工業用の原料,ロケット用燃料などに用途が限られている。将来的には航空機や自動車の燃料,燃料電池,半導体精製,製鉄,食品など多様な分野への導入が検討されており,技術開発は国内の新エネルギー政策において重要な地位を占めている。

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知恵蔵 「水素エネルギー」の解説

水素エネルギー

水素と酸素は燃焼すると熱を出して水になり、大気汚染の問題は生じず、燃料電池で発電すれば高い発電効率が期待できる。特に固体高分子型燃料電池の小型化が進展したため、水素エネルギー利用への期待が高まっている。水素は単体では自然界にないので、化石燃料や再生可能エネルギーから製造する必要がある。再生可能なエネルギーから製造した水素がグリーン水素。バイオマスから水素を取り出すと二酸化炭素を排出するが、この場合の二酸化炭素はカーボン・ニュートラル。水力発電、太陽光発電、風力発電による電力で水を電気分解して水素を製造すれば二酸化炭素の排出はなく、持続可能になる。これに対して、化石燃料の天然ガス、石油、石炭を改質して水素を作る場合は二酸化炭素を排出するうえ資源は有限なので、グリーン水素とは呼ばない。

(槌屋治紀 システム技術研究所所長 / 2007年)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「水素エネルギー」の意味・わかりやすい解説

水素エネルギー
すいそエネルギー
hydrogen energy

水素を燃料としたエネルギー。人類究極のエネルギーといわれる。それは水素が地球上で普遍的かつ豊富に存在すること,燃焼させても水が生成するのみで,きわめてクリーンな燃料であることなどによる。水素エネルギーシステムの実現によって,石油文明時代から水素文明時代に変わるとまでいわれる。しかし,現状では,水素の製造には主に電気分解法が用いられるが,本格的なエネルギー源として利用するにはコストが高い。大量・安価な水素製造法の開発が必要である。また,水素はパラジウムなどの金属に体積で 850倍もの量が吸蔵されるという特徴を有するが,水素吸蔵合金を活用したケミカル・ヒートポンプの研究開発も進みつつある。

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