水素エネルギー(読み)すいそエネルギー

百科事典マイペディア 「水素エネルギー」の意味・わかりやすい解説

水素エネルギー【すいそエネルギー】

水素が燃焼して空気中の酸素と反応する際に発生する熱エネルギー。水素はそのままの形では自然界に存在しないため,水や石油などを分解して取り出さなければならない。水は自然界に大量に存在し,化石燃料と違って資源量に限りがなく,反応後にはまた水になるので環境への負荷もない。また単位当たりの熱量ガソリンの3倍と高く,貯蔵輸送容易,利用範囲が広いなどのメリットがあり,石油に代わる人類究極のエネルギーとも言われている。ただし,水素を大量かつ安価に製造する技術がないため,現在はアンモニア合成石油精製など化学工業用の原料,ロケット用燃料などに用途が限られている。将来的には航空機や自動車の燃料,燃料電池,半導体精製,製鉄,食品など多様な分野への導入が検討されており,技術開発は国内の新エネルギー政策において重要な地位を占めている。

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知恵蔵 「水素エネルギー」の解説

水素エネルギー

水素と酸素は燃焼すると熱を出して水になり、大気汚染の問題は生じず、燃料電池で発電すれば高い発電効率が期待できる。特に固体高分子型燃料電池の小型化が進展したため、水素エネルギー利用への期待が高まっている。水素は単体では自然界にないので、化石燃料や再生可能エネルギーから製造する必要がある。再生可能なエネルギーから製造した水素がグリーン水素バイオマスから水素を取り出すと二酸化炭素を排出するが、この場合の二酸化炭素はカーボン・ニュートラル水力発電、太陽光発電、風力発電による電力で水を電気分解して水素を製造すれば二酸化炭素の排出はなく、持続可能になる。これに対して、化石燃料の天然ガス、石油、石炭を改質して水素を作る場合は二酸化炭素を排出するうえ資源は有限なので、グリーン水素とは呼ばない。

(槌屋治紀 システム技術研究所所長 / 2007年)

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