永久運動(読み)えいきゅううんどう(その他表記)perpetual motion

翻訳|perpetual motion

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「永久運動」の意味・わかりやすい解説

永久運動
えいきゅううんどう
perpetual motion

外からの作用なしに永久に持続する運動。永久運動を生じる装置永久機関という。人類願望として古来種々の装置が考案されてきたが,その失敗の歴史のなかからエネルギー保存則などの成果が生み出された。3種類の永久機関がある。第一種永久機関は,他からエネルギーを得ないで,または得たエネルギーより多くのエネルギーを生みながら永久に動く,効率 100%以上の機械である。しかし外部から一見エネルギーを補給されていないようでも,詳細に検討するとなんらかの形で補給を受けており,その検討のなかから発見されたエネルギー保存則や熱力学第一法則によって,第一種永久機関は不可能とされている。第二種永久機関は,唯一熱源から得た熱を完全に他の形のエネルギーに変える装置で,その過程はエネルギー保存則に矛盾しないものである。この機関が可能ならば,ほとんど無尽蔵の大洋から熱を得て永久に稼働させることができるが,熱力学第二法則によってこの機関も不可能である。マクスウェルの魔物は第二種永久機関の一例である。第三種永久機関は有用な出力を得ることを目的とせず,単に永久に動き続ける装置であって,エネルギーを消耗させる摩擦などを小さくすれば,いくらでも第三種永久機関に近づけるが,到達はできない。しかし極低温で起る超伝導では,いったん流れだした電流が永久に流れ続けて第三種の永久運動が実現されているようにみえる。微視的にはこのような永久運動が可能かもしれないが,巨視的には不可能であることが巨視的な理論である熱力学の第一,第二法則からの結論と信じてよいであろう。

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