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汎アフリカ主義 ハンアフリカシュギ

デジタル大辞泉の解説

はんアフリカ‐しゅぎ【汎アフリカ主義】

アフリカ大陸をアフリカ人の手で統合しようとする思想と運動。19世紀末から起こった。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

汎アフリカ主義
はんあふりかしゅぎ
Pan-Africanism

アフリカを民族的故国とし、アフリカ大陸をアフリカ人の手で統合し独立させようという考えや運動。19世紀末、アメリカ、西インド諸島、ヨーロッパにおけるアフリカ系の人々の運動に始まる。[田北亮介]

汎アフリカ会議

1900年、トリニダード出身のヘンリー・シルベスター・ウィリアムズの指導によって汎アフリカ会議が開催され、アフリカ系人の間に広く連帯の意識が芽生える。第一次世界大戦を契機に国際的視野を拡大したアメリカ黒人運動を背景にして、1919年、アメリカ出身のW・E・バーグハート・デュボイスを指導者として汎アフリカ会議が開催された(普通には、これを第1回汎アフリカ会議とよぶ)。この会議では、アフリカの「段階的自治」などの漸進的要求が主張されたにとどまったが、黒人としての要求というよりも、アフリカへの強い関心を示しており、アフリカ・ナショナリズムとしての性格をうかがうことができる。これ以後、汎アフリカ会議は1921年、23年、27年と開催されたが、思想的、理論的進展には乏しく、運動もしだいに下降線をたどる。結局1929年に予定された会議は開催できず、第二次世界大戦末期まで、汎アフリカ主義運動は前進しなかった。[田北亮介]

アフリカ・ナショナリズムの発展

しかし、この時期には汎アフリカ主義に大きな変化が始まっていた。デュボイスとは異なった立場から、ジャマイカ出身のマーカス・ガーベーは1920年代のアメリカで黒人運動を始めた。彼は黒人種の優越性、アフリカの文化的優越性を主張し、黒人発展の場としてのアフリカを再建するために「アフリカ帰還運動」を提唱して、アフリカ・ナショナリズムを前面に登場させた。他方、汎アフリカ主義の主潮流のなかでも、アフリカ出身の知識人がアフリカ・ナショナリズムに目覚めて、合流し始めた。イタリアのエチオピア侵略と英仏の対イタリア宥和(ゆうわ)政策が、アフリカ人の反欧感情とナショナリズムをかきたてた。その結果ニエレレ、エンクルマ、ケニヤッタなど後の新興アフリカ各国の傑出した指導者が生まれる。1944年汎アフリカ連盟結成、45年汎アフリカ会議、47年同会議の開催を通じて、汎アフリカ主義はアフリカ人の運動となった。また知識人の運動としてだけでなく、アフリカの統一と解放を目ざす大衆的な政治運動として進められる。[田北亮介]

アフリカ統一機構の結成

第二次世界大戦後、アフリカ各植民地が個別に独立した事情もあって、アフリカ統一という理念はかならずしも実現の道を歩み続けたわけではないが、1957年ガーナの独立とともに、汎アフリカ主義は大規模に広まる。58年独立アフリカ諸国会議、とくに同年全アフリカ人民会議へと結実し、さらに63年アフリカ統一機構(OAU)の結成へと至る。アフリカ統一機構の結成は、全アフリカ的規模での汎アフリカ主義の実現ではあるが、しかし結成前からあった、アフリカ穏健派諸国=旧仏領アフリカ諸国(ブラザビル・グループ)およびモンロビア・グループとガーナなど(カサブランカ・グループ)の急進派諸国の対立は解消されず、アフリカ統一機構の結成に際しては、各国主権を前提にした緩やかな「統一および連帯」(アフリカ統一機構憲章第2条)にとどまった。この点からみれば、OAUの結成は汎アフリカ主義の精神が消滅する始まりともいえる。1974年の汎アフリカ会議以後、汎アフリカ主義は第三世界の運動として進められることが求められている。2002年7月OAUはアフリカ連合に改組された。[田北亮介]
『小田英郎著『増補 現代アフリカの政治とイデオロギー』(1975・慶応通信) ▽浦野起央編著『アフリカ国際関係資料集』(1975・有信堂高文社)』

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