デジタル大辞泉 「汗牛充棟」の意味・読み・例文・類語 かんぎゅう‐じゅうとう〔カンギウ‐〕【汗牛充棟】 《柳宗元「陸文通先生墓表」から。引くと牛が汗を流すほどの重さ、積むと家の棟に届くほどの多さの意》蔵書が非常に多いことのたとえ。また、多くの書物。 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「汗牛充棟」の意味・読み・例文・類語 かんぎゅう‐じゅうとうカンギウ‥【汗牛充棟】 〘 名詞 〙 ( 柳宗元「唐故給事中陸文通墓表」の「其為レ書、処則充二棟宇一、出則汗二牛馬一」から出たことばで、ひっぱるには牛馬が汗をかき、積み上げては家の棟木(むなぎ)にまで届くくらいの量の意 ) 蔵書が非常に多いことのたとえ。[初出の実例]「一心をおさめんために、汗牛充棟(カンキウシウトウ)に及ぶ書を尽しみるといふとも」(出典:信長記(1622)一五下) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
四字熟語を知る辞典 「汗牛充棟」の解説 汗牛充棟 本が非常に多いことのたとえ。 [使用例] その原書の由来と説明とは、いわゆるファウスト文献、一層広く言えばギョオテ文献があって、その汗牛充棟ただならざる中にいくらでもある[森鷗外*訳本ファウストについて|1913] [使用例] 小杉未醒が当時雑誌や単行本で「かきまくった」ものの数は、汗牛充棟もただならないとよくいう、正に今これをぞっくりと目の前に積まれれば、驚くべき嵩になるだろう[木村荘八*小杉放庵|1949] [使用例] そのようなわけだから、私は汗牛充棟の読書論に、さらに新たな論を加えようとは思わないし、いまさら加えるべき何ものも持ち合わせていない[森本哲郎*読書の旅|1981] [解説] 出で久く根ね達たつ郎ろうさんの直木賞受賞作「佃島ふたり書房」に、「汗牛書房」という古本屋が出てきます。汗をかいた牛、という店名は奇妙ですが、これは「汗牛充棟」から来ています。 唐代の柳りゅう宗そう元げんの文章「陸文通先生墓表」にあります。「歴史書『春秋』に関する書物は世間に多く、積み上げれば建物を満たし(充棟)、荷車に乗せれば、牛馬が汗まみれで引いていく(汗牛)」。 ここから、「汗牛充棟」は「あるテーマについて書いた本が、世に満ちあふれている」という意味で使われます。例文の[訳本ファウストについて][読書の旅]はその意味で解釈できます。 また、例文の[小杉放庵]にあるように、「著作が多い」という意味、あるいは、「蔵書の数が多い」という意味でも使われます。冒頭の「汗牛書房」は、たくさん本がある書店という意味です。 「汗牛充棟」という漢字から、汗まみれの牛の群れが建物の中に犇ひしめいている、異様な光景を連想する人がいます。もちろん、これは誤った理解です。 出典 四字熟語を知る辞典四字熟語を知る辞典について 情報