一心(読み)いっしん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

一心
いっしん

仏教用語。宇宙の事象の基本にある絶対的な真実。真如 (しんにょ) のこと。また,阿弥陀仏のみを念じる心または念仏のみに専念する心をいう。また,仏陀の救済を信じる心は,その本質が仏陀の心そのものであって,このような信仰を得た人は,凡夫でありながら仏陀の心をそなえているので,このような心を仏凡一体の一心と呼ぶ。

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デジタル大辞泉の解説

いっ‐しん【一心】

多くの人々が心を一つにすること。同心。
心を一つの事に集中すること。また、その心。専念。「会いたい一心で探し続ける」
仏語。
㋐あらゆる現象の根源にある心。
浄土真宗で、真実の信心

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

一心 いっしん

1771-1821 江戸時代後期の行者。
明和8年4月2日生まれ。武蔵(むさし)深谷(埼玉県)の侠客(きょうかく)であったが,妻の死を契機に木曾御岳(おんたけ)信仰にはいる。武蔵の修験僧(しゅげんそう)普寛(ふかん)のひらいた王滝口の先達(せんだつ)となり,江戸を中心に講を組織。不穏な教説を説いたとして幕府に弾圧され,文政4年10月2日牢死(ろうし)した。51歳。信濃(しなの)(長野県)出身。俗名は橋詰長兵衛。

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朝日日本歴史人物事典の解説

一心

没年:文政4.10.2(1821.10.27)
生年:明和8.4.2(1771.5.15)
江戸後期の木曾御岳の行者。信濃国小県郡上本入村(長野県小県郡武石村本入)生まれ。俗名を橋詰長兵衛といった。のちに江戸に出て,下谷車坂町穀物商丸山重兵衛の養子となり,さらに一家を創立して信濃屋又四郎と称した。42歳のときに妻子の死に遭い仏門に入る。下谷金杉の万徳寺恵性和尚の弟子となり,さらに大乗院役僧福寿院順徳の弟子となって本明院一心と号した。木曾御岳を深く信仰し,御岳行者普寛の法統を継いで布教と講の結成に努めた。御岳講の御座立儀礼などの行法や祈祷法の確立に多大なる影響を与えた。文政3(1820)年,不穏な教説を説いたとして幕府の弾圧を受け,遠島の刑に処せられ,翌年配所で牢死した。のちに弟子や信者によって木曾御岳王滝口に一心堂や霊神碑が建立され,埼玉県深谷市には霊場が設けられた。<参考文献>生駒勘七『御岳の歴史』

(牧野真一)

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大辞林 第三版の解説

いっしん【一心】

二人以上の人が心を一つにすること。
一つの物事に集中した心。専心。 「子供を救い出そうという-から身の危険も忘れる」 「助かりたい-で叫び続けた」 → 一心に
〘仏〙 唯一絶対の心。すべての現象の根源としての心。真如。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

一心
いっしん

仏教における一心の一は数学上の1、2、3の概念ではなく、絶対なる全を表す。すなわち、万有の事象の基底にある絶対的真実を一心と考えてよい。仏教の最初期の文献には、このような意味の一心はなかったが、大乗仏教の文献に頻繁にみられるようになった。そこでは、あらゆる現象根源に存在する心とか、衆生(しゅじょう)に内在する真実なる心識(しんしき)とかの意味で用いられた。『華厳経(けごんきょう)』に「現象界は虚妄であり、それはただ一心のつくりたるものである」と述べられているが、この一心の実体について後世の学僧は、如来蔵(にょらいぞう)とか仏性(ぶっしょう)とかといい、さらに阿頼耶識(あらやしき)とも考えた。また、一心は禅定(ぜんじょう)と同義にも用いられる。この場合の一心は心を一つにすること、一つの対象に心を向ける意味である。したがって心の動揺を静めることをいい、坐禅(ざぜん)時の精神統一を一心で表したり、念仏時に阿弥陀(あみだ)一仏を念じ、他の仏を念じないことを一心で表したりする。[田上太秀]

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367日誕生日大事典の解説

一心 (いっしん)

生年月日:1771年4月2日
江戸時代後期の木曽御岳の行者
1821年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

精選版 日本国語大辞典の解説

いっ‐しん【一心】

〘名〙
① 心一つ。一つの心。自分の心。また、こころ。
※法華義疏(7C前)方便品「衆生一心上、即有二相
※平家(13C前)二「一心清浄の誠を致し」 〔荘子‐天道〕
② 心をただ一つのことに集中すること。他事を思わない心。専念。→一心に
※日本往生極楽記(983‐987頃)尋静「三箇日夜、永絶食飲。一心念仏」
※化銀杏(1896)〈泉鏡花〉九「帰りたい帰りたい一心でね」 〔書経‐盤庚下〕
③ 人々の心を一つに合わせること。
※米国及び英国に対する宣戦の詔書‐昭和一六年(1941)一二月八日「億兆一心、国家の総力を挙げて」 〔荀子‐議兵〕
仏語。(認識論的な意味で)世界を表わし出すものとしての心。唯心。
※性霊集‐三(835頃)中寿感興詩「欲談一心趣、三曜朗天中」
※梵舜本沙石集(1283)三「争(いかで)か平等の一心をさとり、無相の妙体に合(かな)はむ」
⑤ 仏語。六波羅蜜(ろくはらみつ)の中の禅定(ぜんじょう)のこと。
※往生要集(984‐985)大文一〇「忍辱、精進、一心、智慧、転相教化」
⑥ 仏語。信心のこと。仏より与えられた信。
※一念多念文意(1257)「一心は金剛の信心なり」
[語誌](1)梵語 eka-citta の訳としての「ある一つのことだけを考える」の意から、「ある対象に心を集中して、心を動かさないこと」という②の意味が生じる。ここから、「一心不乱」「一心念仏」、また、漢語副詞としての「一心に」などのさまざまな語が生まれた。
(2)②は、「一個人が心を一つのことに集中する」場合であるが、③の漢籍例「荀子‐議兵」などには、主に戦争の場面で、「多くの人が心を一つに合わせる」という意味でも用いられ、日本においても戦中の文書によく現われる。

ひとつ‐こころ【一心】

〘名〙
① 混じり気のない、ただひとつの思い。
※古今(905‐914)雑体・一〇〇三「ちぢのなさけも おもほえず ひとつこころぞ ほこらしき〈壬生忠岑〉」
② 心が通じあって、ひとつになること。同じ気持であること。
※宇津保(970‐999頃)国譲下「国母、大臣ひとつこころにてこそ、ことをはかりけれ」
③ 本当の気持。本心。
※読本・昔話稲妻表紙(1806)一「只おのれ等が一つ心(ココロ)よりいでたるは」

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