江馬務(読み)えまつとむ

改訂新版 世界大百科事典 「江馬務」の意味・わかりやすい解説

江馬務 (えまつとむ)
生没年:1884-1979(明治17-昭和54)

日本風俗史学者。京都市の著名な医家に生まれ,1907年に京都帝国大学史学科の第1回生として入学し国史を専攻した。11年12月に風俗史研究会を組織し,16年には機関誌《風俗研究》を創刊した。江馬はこの雑誌の主幹としてほとんど毎号に執筆し日本風俗に関する多方面の研究を発表するとともに,1915年より15年間にわたって毎月1回時代扮装実演会を催し,さらに各地で講演,放送,時代考証,展覧会の指導にあたるなど幅広い啓蒙活動を行った。女子の情操教育にもつくし,長らく京都女子大学に在職したほか,多くの大学や専門学校でも有職故実,風俗史,服装史の講義を担当した。江馬は風俗を単に文献的に考証するだけでなく,それを再現するなど実物実地において総合的に把握するように努め,風俗史を人間生活の歴史として位置づけた。60年に日本風俗史学会の創立と同時に会長に推挙され,79年までその任にあった。60年余りに及ぶ研究の成果は《江馬務著作集》として集成されている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「江馬務」の解説

江馬務 えま-つとむ

1884-1979 大正-昭和時代の風俗史学者。
明治17年12月2日生まれ。江馬天江の孫。明治44年風俗研究会をつくり,大正5年機関誌「風俗研究」を創刊。昭和24年京都女子大教授。35年日本風俗史学会初代会長。風俗を実証的に研究した。昭和54年5月10日死去。94歳。京都出身。京都帝大卒。著作に「日本風俗史」「有職(ゆうそく)故実」など。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例