江馬務(読み)エマ ツトム

20世紀日本人名事典 「江馬務」の解説

江馬 務
エマ ツトム

大正・昭和期の風俗史家 京都女子大学名誉教授;風俗博物館名誉館長。



生年
明治17(1884)年12月2日

没年
昭和54(1979)年5月10日

出生地
京都府京都市

学歴〔年〕
京都帝大文科大学史学科〔明治43年〕卒

経歴
明治43年〜大正10年京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)講師として画学生を指導。その間、明治44年に風俗研究会を組織、大正5年から機関誌「風俗研究」を発行。8年風俗研究所設立。有職故実を風俗史学として開拓、昭和16年「日本風俗史」を出版。さらに「新修有職故実」「日本生活史」「日本結髪全史」「日本服飾史要」「日本妖怪変化史」などを出した。戦後は24〜50年京都女子大学教授、25年風俗研究所長、27年日本風俗文化学会会長、35年日本風俗史学会会長を歴任。また溝口健二「雨月物語」、吉村公三郎源氏物語」など、映画やテレビ、時代祭・葵祭時代考証家としても活躍。多くの著作は「江馬務著作集」(全12巻・別巻1 中央公論社)に収められている。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「江馬務」の意味・わかりやすい解説

江馬務 (えまつとむ)
生没年:1884-1979(明治17-昭和54)

日本風俗史学者。京都市の著名な医家に生まれ,1907年に京都帝国大学史学科の第1回生として入学し国史を専攻した。11年12月に風俗史研究会を組織し,16年には機関誌《風俗研究》を創刊した。江馬はこの雑誌の主幹としてほとんど毎号に執筆し日本風俗に関する多方面の研究を発表するとともに,1915年より15年間にわたって毎月1回時代扮装実演会を催し,さらに各地で講演,放送,時代考証,展覧会の指導にあたるなど幅広い啓蒙活動を行った。女子の情操教育にもつくし,長らく京都女子大学に在職したほか,多くの大学や専門学校でも有職故実,風俗史,服装史の講義を担当した。江馬は風俗を単に文献的に考証するだけでなく,それを再現するなど実物実地において総合的に把握するように努め,風俗史を人間生活の歴史として位置づけた。60年に日本風俗史学会の創立と同時に会長に推挙され,79年までその任にあった。60年余りに及ぶ研究の成果は《江馬務著作集》として集成されている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「江馬務」の解説

江馬務 えま-つとむ

1884-1979 大正-昭和時代の風俗史学者。
明治17年12月2日生まれ。江馬天江の孫。明治44年風俗研究会をつくり,大正5年機関誌「風俗研究」を創刊。昭和24年京都女子大教授。35年日本風俗史学会初代会長。風俗を実証的に研究した。昭和54年5月10日死去。94歳。京都出身。京都帝大卒。著作に「日本風俗史」「有職(ゆうそく)故実」など。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

367日誕生日大事典 「江馬務」の解説

江馬 務 (えま つとむ)

生年月日:1884年12月2日
大正時代;昭和時代の風俗史家。京都女子大学教授;日本風俗史学会会長
1979年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

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