デジタル大辞泉 「有職」の意味・読み・例文・類語 ゆう‐そく〔イウ‐〕【有▽職/有▽識】 1 朝廷や公家の儀式・行事・官職などに関する知識。また、それに詳しい人。2 学識のあること。また、その人。学者。「いと―の物のかぎりなむなりかし」〈宇津保・嵯峨院〉3 諸芸にすぐれていること。また、その人。「―のおぼえ高きその人」〈源・若菜下〉4 教養・才知・家柄・容貌などのすぐれていること。また、その人。「およそ何事にも―に」〈大鏡・実頼〉[補説]原義は2の意で「有識」と書いたが、1の意が生じて「有職」とも書くようになった。 う‐しき【有▽職】 僧職で、已講いこう・内供ないぐ・阿闍梨あじゃりの三つの総称。僧綱そうごうに次ぐ地位とされる。有職三綱さんごう。有職正三綱。 ゆう‐そこ〔イウ‐〕【有▽職】 「ゆうそく(有職)」に同じ。「かのぬし―なれど」〈宇津保・菊の宴〉 ゆう‐しょく〔イウ‐〕【有職】 1 職業をもっていること。有業。「有職の女性」2 ⇒ゆうそく(有職) ゆう‐しき〔イウ‐〕【有▽職】 ⇒ゆうそく(有職) 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例 Sponserd by
精選版 日本国語大辞典 「有職」の意味・読み・例文・類語 ゆう‐そくイウ‥【有職・有識】 〘 名詞 〙 ( 学識のある意で、もと「有識」と書かれたが、官職典故に通じていることをいうようになって「有職」とも書かれるようになる )① ( 形動 ) 学問に精通していること。学識のあること。また、そのさまやその人。ゆうしき。[初出の実例]「応神天皇命二上毛野氏遠祖荒田別一、使二於百済一、捜二聘有識者一」(出典:続日本紀‐延暦九年(790)七月辛巳)② 音楽などの諸芸道にすぐれていること。また、その人。[初出の実例]「たた今、いうそくおぼえ高き、その人、かの人、御前などにて、たびたびこころみさせ給るに、すぐれたるは、数少なくなりためるを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜下)③ 才知・人柄・家柄・容貌などのすぐれた人。[初出の実例]「左大将殿にこそ、さるべきよのいうそくはこもりためれど、又、をかしききみたちあまたありて」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)④ 朝廷や仙洞をはじめとする公家の儀礼・行事・官職などの故実に通じていること。また、その人。有職家。ゆうしき。[初出の実例]「後奏二巻数一、猶不二分明一、重可レ訪二有職一歟」(出典:永昌記‐大治元年(1126)三月一九日)有職の補助注記「有識」「有職」と表記されている用例は「ゆうしょく」か「ゆうそく」か読みが明らかでない。古辞書類は「ゆうしょく」とあるものが多いので「ゆうしょく」と読むべきかとも思われるが、便宜、慣用に従って本項におさめた。 ゆう‐しょくイウ‥【有職】 〘 名詞 〙① =ゆうそく(有職)[初出の実例]「さるは、いみじきいうしょくなり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)② 天台・真言宗の僧職。已講(いこう)・内供(ないぐ)・阿闍梨(あじゃり)をいう。うしき。[初出の実例]「已講 内供奉 阿闍梨〈是謂二有識(ユウショク)一也〉」(出典:塵添壒嚢抄(1532)一四)③ 宮中に役職、任務をもつこと。現代では、ひろく職業に就いていること。〔日葡辞書(1603‐04)〕 う‐しき【有職】 〘 名詞 〙 僧の職名。已講(いこう)、内供(ないぐ)、阿闍梨(あじゃり)の総称で、僧綱(そうごう)に次ぐといわれる。[初出の実例]「御さきに、有職、僧綱どものやんごとなき候」(出典:大鏡(12C前)五) ゆう‐そこイウ‥【有職】 〘 名詞 〙 =ゆうそく(有職)[初出の実例]「かのぬしいうそこなれど、この道になれば、かくこそはあれ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)菊の宴) ゆう‐しきイウ‥【有職】 〘 名詞 〙 =ゆうしょく(有職)② 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例 Sponserd by