日本大百科全書(ニッポニカ) 「沖縄電力」の意味・わかりやすい解説
沖縄電力(株)
おきなわでんりょく
民間電力会社。供給区域は沖縄県で、琉球(りゅうきゅう)電力公社の業務を引き継ぎ、1972年(昭和47)に政府および沖縄県が出資する特殊法人として設立され、1988年に民営化された。沖縄電力の民営化によって、日本の電気事業の産業組織は、北海道電力・東北電力・東京電力・中部電力・北陸電力・関西電力・中国電力・四国電力・九州電力による9電力体制から、沖縄電力を含めた10電力体制へ移行した。沖縄電力は、10電力体制を構成する同業他社と比べて、(1)供給区域が狭い、(2)供給区域に離島が多く含まれる、(3)民生用需要のウェイトが高い、(4)需要面で最大電力の夏ピーク・昼間ピークの先鋭化が著しい、(5)電源は火力発電のみである、(6)送電連系に組み込まれていないため自由化時代の競争圧力が低い、などの特徴をもつ。当初は電源構成面で石油火力への依存度が圧倒的に大きかったが、その後、エネルギー・セキュリティを確保するため、海外炭火力の開発を重点的に行った。その過程で、電源開発株式会社の協力を得た。また、離島での電力供給を安定化するため、海底ケーブルの敷設に力を入れている。資本金76億円(2008)、売上高1493億円(2008)、販売電力量75億キロワット時(2007年度)。重油火力の牧港(まきみなと)、石川、石炭火力の金武(きん)、具志川(ぐしかわ)の4汽力発電所をもつ。
[橘川武郎]
『沖縄電力株式会社編・刊『沖縄電力30年史』(2003)』