青森県の津軽地方の民謡。同地方の坊さま(座頭のこと)とかホイド(本来は祝詞人(ほぎびと)の意が乞食(こじき)の代名詞になる)とよばれる遊芸人たちが、門付(かどづけ)を中心に歌ってきたもので、その源流は、天明(てんめい)初年(1782ころ)新潟県十日町市下組(しもぐみ)新保で生まれた『新保広大寺』である。それが越後(えちご)瞽女(ごぜ)などの手によって長編の「口説(くどき)節」に仕立てられると、諸国の遊芸人の間に広まり、坊さまたちの持ち唄(うた)になっていった。ところが瞽女の掬(すく)い撥(ばち)多用の三味線技法が津軽で異常に発達し始め、加えて門付にはだれにもわかる芸ということから、太棹(ふとざお)でじょうぶな犬皮、一の糸を太く、撥は厚手でたたきまくる大きく激しい技法が発達、明治に梅田豊月(ほうげつ)という名人が出現し、今日の津軽三味線が確立された。しかもちょうど同じころ、浪花(なにわ)節の台頭で『津軽じょんがら節』は『津軽浪花節』としての舞台芸に発展していった。「じょんがら節」という曲名は、関西の「チョンガレ節」(祭文の大衆化したもの)と同種の語り物の意味らしい。
[竹内 勉]
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