出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
滋賀県近江八幡(おうみはちまん)市安土町慈恩寺(あづちちょうじおんじ)にある浄土宗の寺。正称は金勝山(こんしょうざん)慈恩寺浄厳院。本尊は阿弥陀如来(あみだにょらい)。室町時代、第1世浄厳房隆堯(りゅうぎょう)は比叡山(ひえいざん)に学んだのち金勝山に庵(いおり)を結び、念仏を行じたのに始まる。その庵を浄厳房といったが、第3世宗真のとき、豪族佐々木高頼(たかより)の帰依(きえ)を得て、阿弥陀寺と称する。これが当寺の前身である。浄厳房明感(みょうかん)は織田信長の帰依を受け、信長は安土築城に際し、阿弥陀寺を安土に移し、1577年(天正5)明感をこれに請じた。したがって明感を当寺の開山とする説もある。1579年信長の命により、当寺において浄土宗と日蓮(にちれん)宗の間で宗論(安土宗論)が行われたことは有名。本堂のほか、本尊阿弥陀如来坐像(ざぞう)、絹本着色山王権現(さんのうごんげん)像などが国の重要文化財に指定されている。
[清水 乞]
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