浜納豆(読み)はまなっとう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

浜納豆
はまなっとう

静岡県浜松地方の名産である塩納豆をいう。京都の寺納豆 (大徳寺納豆天竜寺納豆) と同類である。麹菌を用いてつくり,関東地方で一般的な糸引き納豆とは菌学的に製造法が異なる。蒸し大豆に麹菌と香辛料をふりかけ麹をつくり,数日してから樽に移し,豆麹が漬かる程度まで塩水を入れ,重しを載せ半年ないし1年間熟成させる。出てきた汁分を除き,天日で乾燥して製品とする。黒褐色粒状で,食塩を約 10%含み,風味は味噌に似ている。

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百科事典マイペディアの解説

浜納豆【はまなっとう】

塩辛納豆の一種。浜名湖畔,三ヶ日町(現・浜松市)の大福寺の産で,浜名納豆の略。中国伝来の食品で,蒸しダイズにコウジカビを接種し,塩水に浸して発酵,乾燥させたもの。暗黒色でみそに似た風味をもち,酒のつまみなどにする。京都の大徳寺や天竜寺で作られ,それぞれの名を冠する寺納豆も同種のもの。
→関連項目納豆

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世界大百科事典 第2版の解説

はまなっとう【浜納豆】

浜名納豆(はまななつとう)の略。塩辛納豆の一種で,遠江の大福寺(現,静岡県引佐郡三ヶ日町)でつくり始めたといわれ,1638年刊の《毛吹草》にも名が見えている。納豆【編集部】

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大辞林 第三版の解説

はまなっとう【浜納豆】

納豆の一。煮た大豆に小麦粉をまぶして発酵させ、塩水に漬け込んだのち干した塩辛い食品。糸は引かない。遠江とおとうみ国の大福寺で作り始めたという。浜名納豆。大福寺納豆。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

浜納豆
はまなっとう

静岡県浜松の名産品で、ダイズを原料とした乾いた納豆。豊臣(とよとみ)秀吉が朝鮮出兵のときに、浜松近くの三ヶ日(みっかび)(現、浜松市北区三ヶ日町)にある大福寺(だいふくじ)の僧が浜納豆を献上して喜ばれた。韓(から)を納めてまめであるということばの縁起を吉兆としたからで、初めは韓納豆といっていたが、地名をとって浜納豆、または寺名を冠して大福寺納豆ともいった。徳川家康が浜松城にいたときには元旦(がんたん)に献上し、その後、将軍の賀上の祝い膳(ぜん)には浜納豆を加えたという。つくり方の一例は、ダイズ4リットルを鍋(なべ)に入れて煮て、そのまま1日置き、莚(むしろ)の上に広げて、麹(こうじ)菌、炒(い)った小麦粉をまぶす。室(むろ)の中に2~3日置くと白かびができる。これにさんしょうの粉少々をふりかけ、水4リットルに塩1リットルを溶かした中に入れ、蓋(ふた)をして半年から1年置く。天日で乾燥させて、酒の肴(さかな)や飯の菜に用いる。[多田鉄之助]

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世界大百科事典内の浜納豆の言及

【納豆】より

…室町期になると納豆,唐(から)納豆と呼ばれ,のちには寺院でつくることが多かったため寺納豆ともいった。京都では大徳寺納豆,天竜寺納豆などの名が知られ,遠江(とおとうみ)浜名湖畔の大福寺でつくられたものは江戸初期から浜名納豆(浜納豆とも)として著名であった。現在では,柔らかく煮たダイズにショウユコウジカビを植えてこうじ豆をつくり,塩水に浸漬(しんし)して3~4ヵ月発酵させたのち,豆をとり出して乾燥する。…

※「浜納豆」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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