甘納豆(読み)あまなっとう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

豆類の砂糖漬菓子の一種明治の末頃名古屋でつくられたものが始りといわれる。東京では明治期に日本橋の菓子屋栄太楼が,浜松うずら豆の甘納豆からヒントを得てササゲの甘納創製,浜松地方の名物浜名納豆にあやかり甘名納糖の名で売出した。

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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典の解説

和菓子の一種。あずき、ささげ、いんげん豆、そら豆などの豆をやわらかく煮て砂糖みつに漬け込み、徐々にみつ糖度を上げて何回か漬け直して甘みを浸透させ、砂糖をまぶしてしっとりと乾燥させたもの。砂糖みつで煮詰める作り方もある。◇江戸日本橋(現東京都中央区)に創業した和菓子店「榮太樓(えいたろう)」の細田安兵衛(三代目)が文久年間(1861~1864。明治初年とも)に考案遠州名物の「浜名納豆」にちなんで「甘名納糖」と名づけて商ったとされる。

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世界大百科事典 第2版の解説

和菓子の一種。豆の砂糖漬で,浜納豆をもじっての命名という。安政(1854‐60)ころササゲで作られたのに始まるといい,現在ではアズキ,ウズラマメ,青エンドウ,インゲン,ソラマメなどのほか,クリやサツマイモでも作られる。豆を煮て最初は薄いみつに漬け,しだいに糖度を増して3回ほどみつ漬を行い,じゅうぶん甘味をしみこませてからみつを切り,砂糖をまぶして仕上げる。それぞれの豆の持味を生かし,外皮とともに軟らかく食べられるようにする。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

菓子の分類からいえば砂糖漬けに入る豆菓子の一種。江戸時代末期には存在したという説(日本食品事典)と、明治初年、東京・日本橋西河岸の菓子商栄太楼(えいたろう)の細田安兵衛の創製という説(大言海)がある。一方『明治東京逸聞史』明治41年(1908)の項では、11月に発刊された『日本百科大辞典』が甘納豆について、「東京で、近年甘納豆を製(つく)り出した」と説明していることを紹介している。江戸末期にあったとしても良品はなかったと思われる。甘納豆の名称は、遠州名物浜納豆(浜名納豆の略。静岡県浜名湖畔、現在の浜松市北区三ヶ日(みっかび)町の大福寺でつくられた納豆)になぞらえたものとする見方は各説とも一致している。浜納豆の形状を元にしてつくられた甘納豆も、当初はアズキ、ササゲが主流であったが、いまでは素材を広げて、エンドウ、ソラマメ、インゲンマメ(ウズラマメ、キントキマメ)のほか、栗(くり)甘納豆もつくられている。製造法は、これらの豆類や、むき栗を蜜漬(みつづ)けにしたのち、丹念に煮詰めて白砂糖をまぶす。製造に際しては、十分に素材のあくを取り除き、豆の皮が破れないように煮る。製品はべとつかず、しかも適当にしっとりしていなければ良品ではない。

[沢 史生]


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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 (「あまななっとう(甘名納豆)」の変化した語) アズキ、インゲンマメなどの豆類を糖蜜で煮つめ、砂糖をまぶした菓子。明治初年、東京日本橋西河岸の菓子商、栄太楼細田安兵衛がはじめて製造し、遠州名物「浜名納豆」に対して「甘名(あまな)納豆」としたという。
※当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉四「甘なっとうの豆々しき」

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