翻訳|rise
ゆるくかつ滑らかにもり上がった海底の高まり。地形の規模や成因に関係なく形態で名付けられる。地球的規模をもつ中央海嶺の一部にもその形態から東太平洋海膨という名称がある。中央海嶺は一般に比高2~3kmであるが,幅の方は300~400kmの海嶺型と幅500kmをこす海膨型がある。海嶺型の中央海嶺はプレートの相対的分離速度が4~6cm/年以下で山頂には中軸谷を有し,海膨型は4~6cm/年以上と分離速度が大きく中軸谷がない。分離速度が速いとマグマの供給が盛んとなりプレートの割れ目である中軸谷は埋められ,遅いとマグマは地下に貫入・固結し地表に地溝が保存されるためである。このほか海膨には,中央海嶺から分岐する高まり(たとえばバミューダBermuda海膨),大洋底の幅広い高まり(たとえば西太平洋のシャツキーShatskiy海膨),陸地から連続する幅広い高まり(たとえばニュージーランドのチャタムChatham海膨)などがあり,成因はさまざまである。
執筆者:佐藤 任弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
緩やかな斜面で盛り上がった幅広く長い海底の高まり。日本の近海では北西太平洋海膨がその典型的な例であるが、もっとも有名なのは東太平洋海膨である。これは、外形から海膨と名づけられているが、インド洋中央海嶺(かいれい)や大西洋中央海嶺にもつながっており、性質も構造もこれらの中央海嶺と同じである。外形の違いは、海嶺におけるプレートの離反速度により、速度が遅いときは海嶺に、速いときは海膨になると考えられている。
[安井 正]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
(小林和男 東京大学名誉教授 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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… 海峰peak顕著な高まりで,尖っているかまたは頂上がごく限られた広さしかないもの。 海膨rise海底から緩くかつふつうは海底が滑らかに盛り上がった幅広い高まり。海嶺の(3)の定義と同義語。…
… 離れるプレート境界ではアセノスフェアが海底近くまで上昇し,中央海嶺を形成する。中央海嶺は,北極海,大西洋,インド洋などの大洋のほぼ中央に連なる海底の大山脈で,太平洋では南東部に走る東太平洋海膨となっている。中央海嶺下のアセノスフェアは圧力低下のためにマグマを生じ,海嶺中軸部では火山活動や地下での貫入が起こる。…
※「海膨」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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