清明上河図(読み)せいめいじょうかず(その他表記)Qīng míng shàng hé tú

改訂新版 世界大百科事典 「清明上河図」の意味・わかりやすい解説

清明上河図 (せいめいじょうかず)
Qīng míng shàng hé tú

中国風俗画画題の一つ。北宋の都汴京(開封)を描く。清明は冬至後104日から106日の寒食節の翌日にあたる二十四節気の一つ清明節の略。太陽暦の4月5日前後にあたり,庶民が郊外の墓地に赴いて祭掃するならわしがあった。上河は世俗丁寧語,または北宋南渡後の墳墓の地がみな河北にあり,ために上河といって上冢(じようちよう)(墓参り)の語に代えたなどの説がある。たけなわの春の日の行楽汴河(べんが)をさしはさんで描くことに始まり,都城繁華街へと導いて,そのにぎわいを写した図巻形式の画題である。北京故宮博物院の蔵品で,北宋の張択端筆と伝える作品はおそらく《清明上河図》創始原本と思われる名品である。他に世界各地のコレクションに40点以上の明清画がある。北京本とは別の系統で図柄小異はあっても基本的な構成はみな同じであり,中国画の保守的な習倣性を示す典型的な例である。台北故宮博物院蔵の1736年(乾隆1)の画院合作本はその頂点に立つ秀作である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「清明上河図」の意味・わかりやすい解説

清明上河図
せいめいじょうかず
Qing-ming-shang-he-tu

清明節でにぎわう中国,北宋の首都 汴京 (べんけい) の町を中心に描いた絵画。北宋末の張択端筆 (北京,故宮博物院) と伝えられるものが最も優品。のちこれにならっていくつかの同題の図巻が制作された。単に風俗画としてでなく,その時代の社会,経済史研究資料としても重要。

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百科事典マイペディア 「清明上河図」の意味・わかりやすい解説

清明上河図【せいめいじょうかず】

中国画の画題。清明節の日(二十四節気の一つ。春分後15日目)の情景を描写したもの。北宋末の宮廷画家張択端が首都【べん】京(べんけい)の清明節を描いた図巻に始まる。後世,張択端本の模本のほか,他の都市の情景を描写したものも作られた。市街図・風俗図として興味あり,社会経済史の資料としても価値が高い。

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旺文社世界史事典 三訂版 「清明上河図」の解説

清明上河図
せいめいじょうがず

北宋の都開封のにぎわいを描く,中国風俗画の画題の1つ
「清明」は,二十四節気の1つ「清明節」の略で太陽暦の4月5日前後にあたる。「上河」は「世俗」の丁寧語とも,「墓参り」の意味ともいう。北京の故宮博物院所蔵の,北宋の張沢瑞の筆と伝えられる作品が,「清明上河図」創始の原本と思われる。

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