清水家(読み)しみずけ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「清水家」の意味・わかりやすい解説

清水家
しみずけ

御三卿(ごさんきょう)の一つ。9代将軍徳川家重(いえしげ)二男重好(しげよし)を祖とする。重好は1758年(宝暦8)14歳のとき江戸城清水門内に屋敷地を与えられ、これを清水屋形(やかた)と称したため清水家とよばれる。翌年元服して徳川を姓とし、屋敷も完成し、62年、10万石の領地を与えられ、将軍の家族の一員として待遇された。以後三度の中絶期間があったが、敦之助(あつのすけ)、斉順(なりゆき)、斉明(なりあき)、斉彊(なりかつ)(いずれも11代将軍家斉(いえなり)の庶子)と相続し、6代昭武(あきたけ)(水戸の徳川斉昭(なりあき)十八男)は1867年(慶応3)パリ万国博覧会のために渡欧した(のち水戸家を継ぐ)。8代好敏(よしとし)はわが国航空界の先達(せんだつ)として知られる。

[上野秀治]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「清水家」の解説

清水家
しみずけ

徳川家の分家。御三卿の一つ。1758年(宝暦8)9代将軍徳川家重の次男重好(しげよし)が江戸城清水門内に屋敷を与えられ,翌年から居住したのに始まり,田安家一橋家と同様の待遇を得た。公卿に叙され,宮内卿式部卿を称する。賄料領知10万石を領するが,家老などの主要役職は幕臣から付人が派遣され老中支配であった。95年(寛政7)重好の没後,無嗣のため領地・諸士は召上げ,清水勤番支配となる。98年11代将軍家斉(いえなり)の五男敦之助が2代を相続したが翌年没し,その後も頻繁に当主を欠いた。1866年(慶応2)6代目を継いだ水戸家徳川斉昭の子昭武(あきたけ)は68年(明治元)水戸家を継いだため,70年兄慶篤の子篤守(あつもり)が継承し,家禄2500石を与えられた。71年清水に改姓。84年伯爵家となり,87年徳川姓に復した。

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改訂新版 世界大百科事典 「清水家」の意味・わかりやすい解説

清水家 (しみずけ)

三卿の一つ。9代将軍徳川家重の次男重好を祖とし,1758年(宝暦8)江戸城清水御門内に屋敷を与えられたところから清水家と称した。高10万石。2代敦之助より5代斉彊(なりかつ)まで,いずれも11代将軍家斉の庶子によって相続された。三卿は将軍家の血統保持と三家制御の役目をもち,三家に次ぐ家格を保持した。
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百科事典マイペディア 「清水家」の意味・わかりやすい解説

清水家【しみずけ】

徳川三卿の一。9代将軍徳川家重の次男重好(しげのり)を祖とする。1759年,元服した重好は徳川の家号を許され,江戸城内清水邸を与えられた。清水徳川の名称の由来となる。1795年実子のないまま死去したため,清水邸は当主を欠いたが,10万石の領知と邸臣は残された。その後も度々当主を欠き,1854年領知を召し上げられた。1866年水戸徳川斉昭(なりあき)の18子昭武(あきたけ)が6代目を相続するが,1868年水戸家を相続したため,1870年昭武の兄慶篤の子篤守(あつもり)が7代目を継承した。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「清水家」の意味・わかりやすい解説

清水家
しみずけ

江戸時代,徳川将軍家の一門。御三卿の一つ。9代将軍徳川家重の次男重好が,江戸城の清水門内に屋敷を与えられ,家を興したのが始り。田安家一橋家とともに御三卿といわれ,御三家に次ぐ家格となり,徳川を称した。所領 10万石。明治維新後,伯爵。

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旺文社日本史事典 三訂版 「清水家」の解説

清水家
しみずけ

江戸時代,御三卿の一つ
1759年,10代将軍徳川家治の弟重好が江戸城清水門内に屋敷を与えられ,一家をたてた。吉宗のときたてられた田安・一橋両家とともに御三卿といわれ,家格は御三家につぎ,所領10万石で無藩。

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事典・日本の観光資源 「清水家」の解説

清水家

(長野県大町市)
信州の民家・街並百選」指定の観光名所。

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世界大百科事典(旧版)内の清水家の言及

【三卿】より

…徳川氏の直系一門のうち,田安,一橋,清水の3家を指す。田安家は8代将軍吉宗の次男宗武,一橋家は同四男宗尹(むねただ),清水家は9代将軍家重の次男重好を祖とし,それぞれ10万石を支給された。この3家の官は諸省の卿に任じられることを例としたところから,三卿と称した。…

※「清水家」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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