(読み)ビョウ

デジタル大辞泉 「渺」の意味・読み・例文・類語

びょう【渺】[漢字項目]

[音]ビョウ(ベウ)(漢)
遠くはるかなさま。果てしないさま。「渺漠渺渺渺茫びょうぼう縹渺ひょうびょう

びょう〔ベウ〕【×渺】

[ト・タル][文][形動タリ]水面などが限りなく広がっているさま。はるかにかすんでいるさま。
「―たる海原を詠めて居り」〈逍遥・内地雑居未来之夢〉

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精選版 日本国語大辞典 「渺」の意味・読み・例文・類語

びょうベウ【渺】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用タリ 〙
  2. 水の限りなく広がっているさま。果てしないさま。はるかにかすんでいるさま。渺渺。
    1. [初出の実例]「大湖の浜を眺望すれば、その平衍なる、渺として涯なきが如し」(出典:米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉一)
    2. [その他の文献]〔高適‐送崔録事赴宣城詩〕
  3. 非常に微少であるさま。きわめて小さいさま。わずかであるさま。
    1. [初出の実例]「江戸に於けるかれはまだ渺(ベウ)たるほとんど無名俳人に過ぎなかった」(出典芭蕉(1922)〈吉田絃二郎〉)

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普及版 字通 「渺」の読み・字形・画数・意味


12画

[字音] ビョウ(ベウ)
[字訓] はるか・ひろい

[字形] 形声
声符は眇(びよう)。眇に微妙・渺遠の意がある。〔説文新附〕十一上に「(べう)は大水なり」と訓し、の一体として「或いは渺に作る」とする。〔玉〕は(すい)部に属し、水部に別に渺をあげて「水長きなり」という。声義は同じであるが、異なる字として用いられていたのであろう。は水の瀰漫(びまん)する意に、渺は渺・渺遠など、ことの際涯のない状態についていう。

[訓義]
1. はるか、とおい、ひろい。
2. かすか。
3. 小さい、わずか。

[古辞書の訓]
字鏡集〕渺 ハルカナリ

[語系]
渺・眇・秒・杪・妙・miは同声。秒・はおおむね微小の意に、渺は渺・渺遠の意に用いる。

[熟語]
渺遠渺小・渺然・渺漠・渺渺瀰・渺渺・渺渺漫渺冥・渺渺緜・渺
[下接語]
雲渺・煙渺・浩渺・波渺・瀰渺・縹渺・渺・渺・杳渺・窈渺


12画

(異体字)渺
12画

[字音] ビョウ(ベウ)
[字訓] はるか・ひろい

[説文解字]

[字形] 会意
三水に従う。〔説文新附〕十一上に「大水なり」とあり、「或いは渺に作る」とあって、渺と同字漫など双声連語として用いることが多い。水のはてしなく広いさまをいう。

[訓義]
1. ひろいみず、おおみず。
2. はるか、ひろい、おおきい。

[古辞書の訓]
名義抄 ハルカナリ・オホイナリ・ヒロシ・タタフ・オホミヅ・ソニカケ 〔字鏡集〕 ヒロシ・タタフ・オホミヅ・ハルカナリ・オホイナリ・タマリミヅ

[熟語]

[下接語]
・浩

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