活火山の活動状況を集中監視する気象庁の組織。東京の気象庁地震火山部のほか、札幌管区気象台、仙台管区気象台、福岡管区気象台の計4か所に2002年(平成14)3月に設置された。「火山センター」と略してよばれることもある。噴火の予兆などをいち早く把握し、火山周辺住民や登山者などが火山災害に巻き込まれないように、噴火警報などを迅速に発表するための組織である。全国に111ある活火山のうち、「火山防災のために監視・観測体制の充実等が必要な火山」(常時観測火山)として火山噴火予知連絡会が選定した50火山については24時間体制で観測。地方気象台、火山防災連絡事務所、測候所での火山監視情報のほか、国土地理院、大学など研究機関、地方公共団体、防災機関が山頂付近や火口周辺に地震計、空振計、傾斜計、GNSS(衛星測位システム)観測装置、監視カメラ等を設置し、観測データをオンラインで集計する火山監視・情報センターシステム(VOIS:Volcanic Observations and Information Center System)を使って火山活動を観測・解析している。また、すべての活火山について機動観測班を派遣し、調査観測を実施している。2007年には火山の活動状況を示す「噴火警戒レベル」という指標を導入。周辺住民の避難が必要な「レベル5」から、高齢者など要配慮者の避難や住民の避難準備が必要な「レベル4」、入山を禁止する「レベル3」、火口周辺への立入りを禁止する「レベル2」、火口内への立入りを禁止する「レベル1」の5段階で、周辺住民や登山者への情報提供や避難に役だてている。2010年には新たなVOIS2を稼動させ、大規模災害で1か所の火山監視・情報センターが機能しなくなっても、残る3か所での監視・解析が可能となった。
当初、常時観測火山は、富士山、有珠山(うすざん)、浅間山(あさまやま)、伊豆大島(いずおおしま)、三宅島(みやけじま)、阿蘇山(あそざん)、桜島(さくらじま)など47火山が選定されていた。しかし、この47火山に含まれていた御嶽山が2014年9月に死者・行方不明者が60人を超えるという戦後最悪の火山災害犠牲者を出した際、事前に噴火警報を出せなかった。この御嶽山で起こった災害を踏まえ、2014年11月に、火山噴火予知連絡会のもとに設置された「火山観測体制等に関する検討会」で「御嶽山の噴火災害を踏まえた活火山の観測体制の強化に関する緊急提言」がとりまとめられ、観測機器の設置台数を増やすなど、観測体制の強化が行われることになった。また、常時監視が必要な火山の見直しが行われ、八甲田山(はっこうださん)、十和田(とわだ)、弥陀ヶ原(みだがはら)の3火山が追加され、常時観測火山は計50火山となった。
[編集部 2022年5月20日]
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新