八甲田山(読み)ハッコウダサン

デジタル大辞泉 「八甲田山」の意味・読み・例文・類語

はっこうだ‐さん〔ハツカフだ‐〕【八甲田山】

青森県中部の火山群。十和田湖の北にあり、最高峰の標高1585メートルの大岳をはじめ、小岳・横岳・くしヶ峰・駒ヶ峰・乗鞍岳などが連なる。温泉も多い。

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精選版 日本国語大辞典 「八甲田山」の意味・読み・例文・類語

はっこうだ‐さんハッカフだ‥【八甲田山】

  1. 青森県中央部にある火山群。八甲田大岳(一五八四メートル)・赤倉岳(一五四八メートル)などからなる北八甲田火山群と、櫛ケ峰(一五一六メートル)・乗鞍岳(一四五〇メートル)などからなる南八甲田火山群に分かれる。森林・お花畑・湿原など植物相は多様で、ふもとには蔦・酸ケ湯などの温泉がある。十和田八幡平国立公園の一部をなす。

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日本歴史地名大系 「八甲田山」の解説

八甲田山
はつこうださん

北八甲田連峰と南八甲田連峰からなり、青森市・上北郡・南津軽郡および黒石市にまたがる。十和田八幡平とわだはちまんたい国立公園の一部をなす。北八甲田連峰は八甲田大はつこうだおお(一五八四・六メートル)を主峰とし、高田大たかだおお(一五五二メートル)井戸いど(一五五〇メートル)赤倉あかくら(一五四八メートル)まえ(一二五一・七メートル)田茂萢たもやち(一三二四メートル)(一四七八メートル)硫黄いおう(一三六〇・二メートル)石倉いしくら(一二〇五メートル)ひな(一二四〇・三メートル)の一〇峰があり、南八甲田連峰にはうえ岳ともよぶくしヶ峯(一五一六・五メートル)した(一三四二メートル)こまヶ峯(一四一六・三メートル)赤倉あかくら(一二九八メートル)乗鞍のりくら(一四四九・八メートル)などが属する。

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改訂新版 世界大百科事典 「八甲田山」の意味・わかりやすい解説

八甲田山 (はっこうださん)

青森県中央部,十和田湖の北方にそびえる火山群。新第三紀層を基盤とし,大量の石英安山岩質の軽石流を噴出したのち生じたカルデラ上に,輝石安山岩を主に石英安山岩,流紋岩などからなる成層火山と溶岩円頂丘が散在する。山群の中を西流する荒川と東流する蔦(つた)川の谷を境として北八甲田火山群と南八甲田火山群に分けられる。

 北八甲田火山群は南北に並ぶ前岳,田茂萢(たもやつ)岳(1324m),赤倉岳(1548m),井戸岳(1537m),大岳(1584m。最高峰),硫黄岳と,東西に並ぶ高田大岳(1552m),小岳,雛岳の諸峰からなる。このうち,赤倉岳,井戸岳,大岳および硫黄岳は各山頂付近に火山活動末期に形成された爆裂火口をもっている。とくに井戸岳の円形火口や赤倉岳の北東に開いた馬蹄形火口はその規模が大きい。北八甲田火山群をとりまく外輪山は,北側から東側にかけて柴森山,石倉山,黒森と半円形をなして連なるが,他の部分ではその後の火山活動による噴出物によっておおわれているため不明瞭である。この北東側の外輪山と中央火口丘群との間には火口原の田代平(たしろたい)があり,起伏の緩やかな草原地帯となっており湿原もある。一方,南八甲田火山群は櫛ヶ峰(1517m。最高峰),乗鞍岳(1450m),赤倉岳,駒ヶ峰,横岳などからなる。南八甲田火山群の最東端に位置する赤倉岳は,東に開いた大きな馬蹄形の爆裂火口をもち,ここからの流下物は蔦川の支流をせき止め,蔦沼をはじめ長沼など多数の湖沼をつくっている。北八甲田の各火山の山容は,緩やかなすそ野にくらべて山頂付近が急峻な釣鐘状になっており,これに対し南八甲田の山々は全般に扁平な形のものが多い。

 八甲田山の植生は多様で,標高を増すごとに亜高山帯,高山帯と様相を変化させる。標高400m付近から1000m付近までを占める樹林は主としてブナで,森林資源として開発されており,伐採跡地はおもに放牧地となっている。標高1000mをこえると亜高山帯で,オオシラビソアオモリトドマツ)を主とする針葉樹林となり,各所に点在する湿原にはミズバショウチングルマなどの湿原植物があり,八甲田の代表的な景観の一つとなっている。標高1400mをこえると高山帯でハイマツの群落地帯となり,ナナカマド,ハクサンシャクナゲなどが混生している。頂上付近はガンコウランコケモモなどが群生し,ヒナザクラ,イワカガミ,ミヤマリンドウなど高山植物のお花畑が展開している。

 周辺には温泉が多く,最も歴史の古い酸ヶ湯(すかゆ)温泉をはじめ,田代元湯温泉(ボウ硝泉,48~62℃),八甲田温泉(鉄泉,酸性硫黄泉,41~50℃),猿倉温泉(セッコウ硫化水素泉,68℃),蔦温泉などがある。十和田八幡平国立公園に属し,南北両八甲田の境を横断する国道394号線を経由して,青森市から奥入瀬(おいらせ)渓流や十和田湖へ至る道路が整備されている。また田茂萢岳西麓には全長2500mの八甲田ロープウェー(1968完成)がある。1902年1月,八甲田山中を耐寒雪中行軍中199人の死者を出した青森歩兵第5連隊の遭難事件が知られる。
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百科事典マイペディア 「八甲田山」の意味・わかりやすい解説

八甲田山【はっこうださん】

青森県中央部,奥羽山脈上の活火山群。陥没カルデラの南西部に噴出した安山岩からなる火山錐・溶岩丘群で,最高峰八甲田大岳(1585m)を主峰とする火山群と南の櫛ヶ峰(1517m)を中心とする火山群に分かれる。18世紀の《東遊記》には甲田山・八ツ甲田とある。アオモリトドマツにおおわれ,高山植物も生育。樹氷がみられ,好スキー場となる。十和田八幡平国立公園に属し,山麓に登山基地の酸ヶ湯(すかゆ),(つた),谷地などの温泉がある。1902年青森歩兵第5連隊が雪中行軍中210人のうち197人の凍死者を出した。
→関連項目青森[県]青森[市]奥羽山脈十和田[市]十和田湖[町]日本百名山

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「八甲田山」の意味・わかりやすい解説

八甲田山
はっこうださん

青森県のほぼ中央部にある火山群。北八甲田連峰と南八甲田連峰に分かれる。前者は主峰の大岳(1585メートル)のほか、前岳、田茂萢(たもやち)岳、赤倉岳、井戸岳、小(こ)岳、高田大岳、石倉岳の八峰があり、硫黄(いおう)岳、雛(ひな)岳を含めることもある。南八甲田連峰は主峰の櫛ヶ峰(くしがみね)(1517メートル)のほか、乗鞍(のりくら)岳、駒(こま)ヶ峰、下(した)岳、猿倉岳、赤倉岳からなる。各火山はそれぞれ独立しているが、円錐(えんすい)状で山麓(さんろく)部が緩やかな裾野(すその)を引く山が多い。東に七戸(しちのへ)川、蔦(つた)川(奥入瀬(おいらせ)川)、北に荒川、駒込(こまごめ)川、西に浅瀬石(あせいし)川などが流下し、上流部には渓谷、滝をつくっている。植生は標高400~1000メートルではブナ林、それより上はアオモリトドマツなどの針葉樹林となり、頂上付近はガンコウラン、コケモモなどの高山植物、キンコウカワタスゲなどの湿生植物が群生する。

 山麓には田代平(たしろたい)、萱野高原(かやのこうげん)などの高原があり放牧場となっている所もある。酸ヶ湯(すかゆ)、蔦など温泉も多い。両連峰間を青森―十和田(とわだ)間のバス道路が走り、田茂萢岳へはロープウェーが通じる。登山、ハイキング春スキーなどを楽しむことができる。十和田八幡平(はちまんたい)国立公園域。なお、1902年(明治35)1月23日から25日にかけて、青森歩兵第五連隊第二大隊が八甲田山縦断雪中行軍中、田代平で猛吹雪により210人中199人が凍死する大惨事が起きた。

[横山 弘]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「八甲田山」の意味・わかりやすい解説

八甲田山
はっこうださん

青森県中央部にある火山群で,活火山那須火山帯に属し,最高峰は八甲田大岳(1585m)。また高田大岳(1552m),井戸岳(1537m),田茂萢岳(たもやちだけ。1324m)などからなる北八甲田火山群と櫛ヶ峰(1517m),乗鞍岳(1450m),駒ヶ峰(1416m)などからなる南八甲田火山群に区分される。ほとんどが円錐(コニーデ)形(→成層火山)の山容を示す。標高 900~1400mの亜高山帯に分布するアオモリトドマツ(オオシラビソ),睡蓮沼,毛無平(けなしたい)などの高原湿地帯のミズバショウは有名。また酸ヶ湯温泉,城ヶ倉温泉,猿倉温泉蔦温泉,谷地温泉などの温泉群もある。十和田八幡平国立公園に属する。

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デジタル大辞泉プラス 「八甲田山」の解説

八甲田山

1977年公開の日本映画。監督:森谷司郎、原作:新田次郎、脚本:橋本忍、撮影:木村大作。出演:高倉健、北大路欣也、三國連太郎、加山雄三、島田正吾、大滝秀治、丹波哲郎ほか。第32回毎日映画コンクール日本映画ファン賞受賞。第1回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞(高倉健)ほか受賞。

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事典 日本の地域遺産 「八甲田山」の解説

八甲田山

(青森県青森市;青森県十和田市)
美しき日本―いちどは訪れたい日本の観光遺産」指定の地域遺産。

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事典・日本の観光資源 「八甲田山」の解説

八甲田山

(青森県青森市)
あおもり魅力百選」指定の観光名所。

八甲田山

(青森県)
日本百名山」指定の観光名所。

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