民俗芸能。風流(ふりゆう)踊の一種で,頭に美しい切子(きりこ)灯籠などをかずいて踊る。盂蘭盆会(うらぼんえ)に意匠を凝らした灯籠を掲げ,また贈答することは古くから行われているが,中世後期に盆に風流の踊りが流行すると,その趣向として美しい女衣装を着,頭に灯籠を置いた青年の一団が,小歌にあわせて振りをした。これは文明年間(1469-87)初頭,奈良における風流踊にみえるのが早い(《経覚私要鈔》)。のちに著名となったのは京都洛北の灯籠踊で,岩倉,花園,高野などでは江戸時代も盛んであった。現在も京都市左京区八瀬の〈赦免地(しやめんち)踊〉,久多の〈花笠踊〉などに残るほか,岩手県の大念仏系剣舞(だいねんぶつけいけんばい)(剣舞(けんばい))などに古い姿を残す。熊本県山鹿市の山鹿(やまが)灯籠踊もその一つであるが,民謡の《よへほ節》にあわせた盆踊となっている。
執筆者:山路 興造
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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…民俗芸能。京都市左京区八瀬(やせ)の天満宮摂社,秋元神社例祭(10月11日)に奉納される風流(ふりゆう)踊で,灯籠踊ともいう。灯籠を頭にのせ灯籠着(とろぎ)と呼ぶ女装をした青年8人を中心に,音頭取り,太鼓打ち,新発意(しんぼち)(踊りの指導者),踊り子が〈道歌(みちうた)〉をうたいながら神社に練り込む。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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