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炉心溶融 ろしんようゆうcore melt

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

炉心溶融
ろしんようゆう
core melt

原子炉炉心高温になり,融点をこえて溶融すること。出力の異常な上昇か炉心の冷却不能時に起こりうる。炉心溶融が起こると,高温の溶融物質が冷却材と接触して蒸気爆発を生じたり,構造材を溶かしながら原子炉容器の下部に流下する。一定量以上の溶融燃料が 1ヵ所に集まると,臨界条件に達して制御不能な核分裂連鎖反応が起こる再臨界事故を起こす危険性がある。さらに,燃料要素内に封じ込められている放射性物質を原子炉容器と一次冷却系統に拡散させ,外部へ放出するおそれがある。(→原子力発電所事故

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

炉心溶融

原子炉内の水位が下がり、炉心が水中から露出すると、燃料の温度が上昇し、燃料を入れた金属製の器(被覆管)が溶ける。冷却が不十分だと燃料の溶融から、さらに炉心の構造物の破壊と落下が起こる。ここに水があると、水と溶融物が接触し急激な爆発が起こる恐れがある。爆発で格納容器が破壊されれば、大量の放射性物質が環境に放出されることになる。

(2011-03-13 朝日新聞 朝刊 1総合)

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デジタル大辞泉の解説

ろしん‐ようゆう【炉心溶融】

原子炉炉心の冷却が不十分な状態が続く、または炉心の出力が異常に上昇することによって、炉心の温度が上昇し、燃料溶融に至る状態。

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大辞林 第三版の解説

ろしんようゆう【炉心溶融】

冷却材の流出などにより炉心が高温になって核燃料が溶ける現象。原子炉事故で最も危険。メルト-ダウン。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

炉心溶融
ろしんようゆう
meltdown

原子炉中の炉心が冷却手段を失い、過熱して破損・溶融すること。燃料棒とこれを支える構造物、制御棒などが集まる原子炉の中心部分を炉心とよび、ここでは大量の熱(運転時には核分裂による熱、運転停止後にはしだいに減少する崩壊熱)が発生している。これらの熱は冷却水を循環させて除去されているが、なんらかの理由でこの冷却機能が失われ、発生する熱によって炉心温度が上昇し、破損・溶融に至る事故が炉心溶融である。軽水炉における典型的な例は、配管などが破断して炉内の冷却水が外部に流出し、炉内水位が下がって炉心が露出して、さらに緊急炉心冷却装置(ECCS:Emergency Core Cooling System)なども有効に作動しなかった場合に起こる。このような事故を冷却材喪失事故(LOCA:Loss of Coolant Accident)とよぶ。炉心が露出して、ジルコニウム合金製の燃料棒被覆管の温度が1200℃を超えると、ジルコニウムと水が反応して大量の水素が発生すると同時に被覆管がもろくなり、その一部の破損が進行する。約1850℃ではジルコニウムが溶融、約2850℃で燃料の二酸化ウランペレットも溶融し、炉心全体が溶けた状態で原子炉圧力容器の底に落下する(メルトダウン)。溶融物は高温のため、原子炉圧力容器の底を貫いて格納容器の底へと落下する(メルトスルー)。落下物がここでも冷却されなければ、さらに格納容器の底を貫いて地中深くもぐり、地下水と反応して水蒸気爆発を起こすなどといわれているが、実例はなく未実証である。溶融炉心が地中深くもぐり地球の反対側に出てしまうというブラック・ユーモアを込めて、この事故をチャイナ・シンドロームとよぶこともある(1979年に公開された原子力発電所を舞台とした映画『チャイナ・シンドローム』で、アメリカの原子炉でメルトスルーが起こった場合、溶融炉心が地球の反対側の中国まで達するという意味で使われた造語)。
 2011年(平成23)3月の東北地方太平洋沖地震の際に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故では、地震・津波により外部からの電源が断たれ、非常用ディーゼル発電機も浸水したため、冷却水を循環させるポンプを動かすための交流電源が失われた。このため炉内の温度・圧力が上昇、ついには冷却水が蒸気となって原子炉(圧力容器)から吹き出し、炉内の水位が低下して炉心溶融に至った。発生した水素は上昇して原子炉建屋(たてや)上部にたまり、電気火花などに引火して、次々と水素爆発が起こった。溶融した炉心は、その後は冷えて固まり(固化物を炉心デブリとよぶ)一部は格納容器の底に、一部は原子炉圧力容器の内部にあるとされている。炉心デブリはきわめて強い放射線を出しているため、取り出すには事故発生後30~40年はかかるといわれている。[舘野 淳]

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