自然災害による配管破断などで炉心から冷却水が大量に失われた際に原子炉圧力容器の冷却と減圧を行うための装置。燃料棒が露出し損壊する深刻な事故を防ぐ「最後のとりで」とされる。東京電力福島第1原発事故では、全電源喪失で十分に機能しなかった。福島第1原発と同型の沸騰水型炉には、圧力容器内に「炉心スプレイ系」があり、緊急時に炉心に散水し冷却する。
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軽水炉の冷却材喪失事故時に、炉心冷却水を注入し、炉心を安全に冷却するシステムのことで、Emergency Core Cooling Systemの頭文字をとってECCSという。
熱の大部分を発生する核分裂反応は、炉心に制御棒を挿入することにより停止させることができるが、通常の運転時に燃料棒中に生成された核分裂生成物は、核分裂の停止後も引き続きエネルギーを発生する。冷却機能が失われると、この熱により炉心は溶融温度にも達する。そのため、ECCSは、軽水炉の安全性を確保するうえで、とくに重要な安全装置といえる。
原子炉冷却系の小破断事故の際には高圧ポンプで冷却水を注入する高圧注入系が作動し、大破断事故の際には低圧ポンプで冷却水を注入する低圧注入系が作動することになる。ECCSの主要部は電源やポンプを必要としない蓄圧注入系であり、2個以上の大きなタンクで構成され、PWR(加圧水型原子炉)の場合、これらのタンクは逆止弁を経て冷却材ポンプと原子炉圧力容器を結ぶ主冷却配管につながっている。主冷却配管の圧力が蓄圧タンク内の圧力よりも低くなると、逆止弁が開き、炉心を冷却するために蓄圧タンクから原子炉圧力容器内に水が注入される。
[桜井 淳]
(渥美好司 朝日新聞記者 / 2008年)
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