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緊急炉心冷却装置 きんきゅうろしんれいきゃくそうちemergency core cooling system

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

緊急炉心冷却装置
きんきゅうろしんれいきゃくそうち
emergency core cooling system

原子炉の冷却水が失われる事故が起こったとき,炉心に冷却水を急速に注入して冷却する装置。略称 ECCS。原子炉は運転を中止して核反応を止めても崩壊熱などによる熱の発生があり,燃料体の温度が上がって溶融する可能性がある。このため ECCSの必要性がある。冷却水が失われる事故 (冷却材喪失事故) としては一次冷却系の配管の大破断や小破断などが想定され,ECCSは一次冷却系統のどのような大きさの破断に対しても炉心を冷却することができるように設計される。 ECCSには,タンクにためた水を蓄圧ガスの力で注入するもの,原子炉圧力が高いときにポンプで注水するもの,原子炉圧力が低いときにポンプで注水するものなど,さまざまな種類がそれぞれ複数系統用意されており,一部が故障しても十分機能するように設計されている。 (→多重防護 ) 。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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知恵蔵の解説

緊急炉心冷却装置

原子炉が空焚(からだ)き状態になることを防ぐ安全系の最重要装置。原子炉で発生する熱を取り除くための冷却系配管が破断するなどで、炉心から冷却水が大量に失われる事故(冷却材喪失事故)が起きたとき、緊急に水を押し込む。加圧水型炉では、高圧で蓄えてある水を入れる蓄圧注入系、ポンプを使い高圧で送り込む高圧注入系、圧力が下がってから働かせる低圧注入系の3系統がある。沸騰水型炉では、圧力容器上部から高圧で水をまく高圧炉心スプレー、低圧炉心スプレー、低圧注入系がある。格納容器内を冷やす格納容器スプレーもあり、沸騰水型炉では格納容器の小ささを補うサプレッション・プール(チェンバー)がある。これらと格納容器とを工学安全施設という。冷却水の流出により日本で初めてECCSが実作動したのは、1991年2月に起きた関西電力美浜原発2号機(福井県美浜町)の事故。蒸気発生器の伝熱管(直径22.2mm、肉厚1.27mm)1本が破断し、このため原子炉が自動停止し、さらにECCSが作動した。原因は伝熱管の振動を抑えるための振れ止め金具の施工ミス。

(渥美好司 朝日新聞記者 / 2008年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」
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デジタル大辞泉の解説

きんきゅう‐ろしんれいきゃくそうち〔キンキフロシンレイキヤクサウチ〕【緊急炉心冷却装置】

イー‐シー‐シー‐エス(ECCS)

出典|小学館
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

緊急炉心冷却装置
きんきゅうろしんれいきゃくそうち

軽水炉の冷却材喪失事故時に、炉心冷却水を注入し、炉心を安全に冷却するシステムのことで、Emergency Core Cooling System頭文字をとってECCSという。
 熱の大部分を発生する核分裂反応は、炉心に制御棒を挿入することにより停止させることができるが、通常の運転時に燃料棒中に生成された核分裂生成物は、核分裂の停止後も引き続きエネルギーを発生する。冷却機能が失われると、この熱により炉心は溶融温度にも達する。そのため、ECCSは、軽水炉の安全性を確保するうえで、とくに重要な安全装置といえる。
 原子炉冷却系の小破断事故の際には高圧ポンプで冷却水を注入する高圧注入系が作動し、大破断事故の際には低圧ポンプで冷却水を注入する低圧注入系が作動することになる。ECCSの主要部は電源やポンプを必要としない蓄圧注入系であり、2個以上の大きなタンクで構成され、PWR(加圧水型原子炉)の場合、これらのタンクは逆止弁を経て冷却材ポンプと原子炉圧力容器を結ぶ主冷却配管につながっている。主冷却配管の圧力が蓄圧タンク内の圧力よりも低くなると、逆止弁が開き、炉心を冷却するために蓄圧タンクから原子炉圧力容器内に水が注入される。[桜井 淳]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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