熔岩流(読み)ようがんりゅう(英語表記)lava flow

翻訳|lava flow

岩石学辞典 「熔岩流」の解説

熔岩流

火山割れ目からでた熔融した熔岩が川のように流れることで,流出している熔岩あるいはすでに固化した熔岩体[Prestwich : 1886-1888].粘性流体としてのマグマ地表における流れ,およびそれが固化して生じた岩体をいう.熔岩の粘性や流速,厚さ,などにより種々の形態を示す.熔岩流は巨視的にみた場合の岩体名で,個々の小部分の名称ではない.
熔岩はマグマが地表に噴出したもので,マグマは概念的なものであるのに対して熔岩は現実にある物質である.この熔岩が地表で流動し固化したものを熔岩流という.熔岩流として流動するためには粘性がある程度低くなければならないので,熔岩の岩質と密接に関係しており,一般に熔岩流となるのは玄武岩ないし安山岩がほとんどである.
熔岩流は玄武岩の熔岩では太い縄を捩ったような産状のものがあり,縄状熔岩(ropy lava)という.この形態の熔岩をハワイの火山ではパホエホエ熔岩(Pahoehoe lava)とよんでいる.これに対して粗い表面でできた角張った岩塊累積したものを塊状熔岩(block lava)といい,安山岩や石英安山岩には普通にみることができる.ハワイの火山ではこれをアア熔岩(Aa lava)という.アア熔岩と塊状熔岩とは同意語として使用されているが,フィンチは両者を区別すべきものであるとし,塊状熔岩は滑らかな平面で囲まれた多角形の岩塊の累積よりなり,アア熔岩とはとげとげした破片で覆われた特徴があるとしている[Finch : 1933,久野 : 19564].
熔岩流の周囲が固結した後に,まだ内部の流動性を保った部分が流れ去ると内部が空同化して熔岩トンネル(lava tunnel),あるいは溝状地形の熔岩溝(lava trough, lava channel)が形成される.熔岩流が海中に噴出し急冷固化すると枕状熔岩(pillow lava)が形成される.

熔岩流

川のような熔岩の流れ[Judd : 1888, Iddings : 1909].

出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android