溶岩流(読み)ヨウガンリュウ(その他表記)lava flow

翻訳|lava flow

デジタル大辞泉 「溶岩流」の意味・読み・例文・類語

ようがん‐りゅう〔‐リウ〕【溶岩流】

火口から噴出した溶岩地表を流れ下るもの。また、それが固結して生じた岩体

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精選版 日本国語大辞典 「溶岩流」の意味・読み・例文・類語

ようがん‐りゅう‥リウ【溶岩流】

  1. 〘 名詞 〙 火口から噴出した溶岩の流れ。また、その冷却・固結したもの。
    1. [初出の実例]「熔岩流(ヨウガンリウ)の末梢波打際に累々露出せるを」(出典:風俗画報‐二五四号(1902)大島)

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改訂新版 世界大百科事典 「溶岩流」の意味・わかりやすい解説

溶岩流 (ようがんりゅう)
lava flow

溶岩が地表で液体として流動すると溶岩流と呼ばれる。またそれが冷却・固化して生じた岩体もやはり溶岩流と呼ばれる。実測される溶岩流の温度は玄武岩質のもので1050~1200℃くらい,安山岩質のもので1000~1100℃くらいの範囲である。粘性率は102~107ポアズであるが,冷却するにつれ急激に増加し1010~1011ポアズで事実上固化する。流下速度は急斜面を流れる玄武岩質溶岩流の場合で最高10m/s以上に達するが,通常は人の歩く速さか,それ以下の場合が多い。溶岩流の規模は長さ数km,体積1km3以下のものが多いが,大型のものは長さ,体積ともその10倍以上のものもある。デカン高原コロンビア高原溶岩台地では最大数百km3,長さ300km以上の玄武岩質溶岩流がみられる。固化した溶岩流の形態は次の3種に分類される。(1)パホイホイpahoehoe溶岩 玄武岩質溶岩流に限られ,表面が平滑で扁平な袋状ないし板状の外形を示す。厚さ数十cm~2mくらいで,波のようなうねり,縄状,ろうそくの滴状などさまざまのバリエーションがある。水平的広がりに対して厚さが薄く,含まれる気泡は球状のものが多く,粘性が低かったことを示す。溶岩チューブ溶岩トンネルが発達することがある。(2)アアaa溶岩 パホイホイとともにハワイの火山の溶岩流につけられたポリネシア語であるが,学術語として定着している。玄武岩質ないし安山岩質溶岩流にみられ,粗い刺の密集した,細かい凹凸に富んだ表面をもつ。また直径数cmくらいの多量の団塊clinkerが表面を覆ってしまう場合が多い。アア溶岩の表面はこのため,多孔質で砕けやすく,気泡は楕円形や変形したものが多い。しかし中心部は高温で連続した液状部があり,溶岩流全体の前進は,中心部の流動によって支配される。厚さは1~20mの場合が多く,パホイホイ溶岩と比べて水平的広がりに対し厚さが大きい。(3)塊状block溶岩 安山岩質・デイサイト質・流紋岩質溶岩流に特徴的で,表面は径数十cm~数mの岩塊の集合で覆われている。厚さは10m以上のものが多く,100m以上の厚さのものもまれではない。日本でみられる溶岩流の大部分がこれで,浅間山の鬼押出し,桜島の大正溶岩などがよい例である。中心部はアア溶岩と同様連続した流動層からなり,ゆっくり前進する溶岩流の先端部は岩塊として崩れ落ち,中心部はその上に乗って前進して行く。

 溶岩流は常に谷のような地形の低い所を選んで流下するため,舌状の平面形をとることが多い。平坦地では扇状地状に広がるが,そのときは溶岩流の中に樹枝状の流路が生じ,新鮮な溶岩が先端部へ補給されるようになる。固結した溶岩の断面にはしばしば多角柱状の冷却割れ目がみられ,柱状節理columnar jointと呼ばれる。溶岩が水底に噴出すると,水により急冷・破砕され,細粒岩片の集合体(ハイアロクラスタイト)になることが多いが,とくに高温の玄武岩質溶岩の場合は,楕円体の袋や筒の集合体からなる枕状溶岩が生じる。
火山
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岩石学辞典 「溶岩流」の解説

熔岩流

火山や割れ目からでた熔融した熔岩が川のように流れることで,流出している熔岩あるいはすでに固化した熔岩体[Prestwich : 1886-1888].粘性流体としてのマグマの地表における流れ,およびそれが固化して生じた岩体をいう.熔岩の粘性や流速,厚さ,などにより種々の形態を示す.熔岩流は巨視的にみた場合の岩体名で,個々の小部分の名称ではない.
熔岩はマグマが地表に噴出したもので,マグマは概念的なものであるのに対して熔岩は現実にある物質である.この熔岩が地表で流動し固化したものを熔岩流という.熔岩流として流動するためには粘性がある程度低くなければならないので,熔岩の岩質と密接に関係しており,一般に熔岩流となるのは玄武岩ないし安山岩がほとんどである.
熔岩流は玄武岩の熔岩では太い縄を捩ったような産状のものがあり,縄状熔岩(ropy lava)という.この形態の熔岩をハワイの火山ではパホエホエ熔岩(Pahoehoe lava)とよんでいる.これに対して粗い表面でできた角張った岩塊の累積したものを塊状熔岩(block lava)といい,安山岩や石英安山岩には普通にみることができる.ハワイの火山ではこれをアア熔岩(Aa lava)という.アア熔岩と塊状熔岩とは同意語として使用されているが,フィンチは両者を区別すべきものであるとし,塊状熔岩は滑らかな平面で囲まれた多角形の岩塊の累積よりなり,アア熔岩とはとげとげした破片で覆われた特徴があるとしている[Finch : 1933,久野 : 19564].
熔岩流の周囲が固結した後に,まだ内部の流動性を保った部分が流れ去ると内部が空同化して熔岩トンネル(lava tunnel),あるいは溝状地形の熔岩溝(lava trough, lava channel)が形成される.熔岩流が海中に噴出し急冷固化すると枕状熔岩(pillow lava)が形成される.

熔岩流

川のような熔岩の流れ[Judd : 1888, Iddings : 1909].

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「溶岩流」の意味・わかりやすい解説

溶岩流
ようがんりゅう

溶岩

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「溶岩流」の意味・わかりやすい解説

溶岩流
ようがんりゅう

溶岩」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の溶岩流の言及

【火山】より

…ふつうは比高200~300m程度以下で,頂上には比較的大きな火口がある。溶岩が流出する噴火では,噴出口から溶岩流lava flowが出て固まった軽微なものもあり,溶岩の粘性が大きければ噴出口の上に高く盛り上がって円い丘をつくる。これを溶岩円頂丘lava domeという。…

【火山】より

…この規模の噴火では,圧力は2000~500気圧,1回の放出物の量は1×105~4×105tになる。【下鶴 大輔】
【火山放出物】
 火山から放出される物質は大別して,火山ガス,温泉水,溶岩流,火山砕屑物(火砕物)などがある。火山ガスの大部分は水蒸気であるが,その大部分は地表水が地下でマグマにより熱せられて気化したものである可能性がある。…

※「溶岩流」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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