体温の変動を時間的経過を追って記録し、得られたグラフのことで、「ねつがた」ともいう。熱すなわち発熱とは、正常の体温以上を意味するが、通常では37℃以上から注意が払われる。熱の有無は、額を触ってその皮膚温によって確かめることもあるが、実際には体温計によって測定される場合が多い。体温は、口内、直腸、腋窩(えきか)で計られるが、日本では腋窩における検温がもっとも広く用いられている。なお、外国では華氏(かし)の温度を用いることが多いので注意を要する。C(摂氏(せっし))とF(華氏)の変換には、F=C×(9/5)+32の式が用いられる。
毎日の体温と脈拍数、呼吸数をグラフとして記録したものは温度表とよばれ、疾病の経過を知るために、臨床的に常用されている。体温の経過だけのグラフである熱型は、疾病の性質を推察するうえでたいせつである。熱型の基本として次の型が知られている。すなわち、(1)一日中の体温の差が1℃以内のものを稽留(けいりゅう)熱といい、腸チフスの極期などにみられる。(2)体温の差が1℃以上を弛張(しちょう)熱といい、化膿(かのう)性疾患、敗血症などにみられる。(3)高熱と無熱が間欠的に現れる(高熱期と無熱期とが1~2日置きに交代で認められる)ものを間欠熱といい、マラリアなどにみられる。
[渡辺 裕]
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