熱田区(読み)アツタク

デジタル大辞泉 「熱田区」の意味・読み・例文・類語

あつた‐く【熱田区】

熱田

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「熱田区」の解説

熱田区
あつたく

面積:八・一三平方キロ

名古屋市の中央南部に位置し、東を瑞穂みずほ区・昭和区、南を南区・港区、西を中川区、北を中区と接する。中央部をほり川が、東境新堀しんほり川が南北に通じ、南境で合流して伊勢湾へ注ぐ。熱田は名古屋から続く台地南端に位置し、近世以降の干拓が進む以前は海に臨んでいた。その南北に延びる台地の西側に堀川、東側に新堀川が開削された。この台地と東西の低地との比高は五―一〇メートルである。熱田の地は愛知郡に属した。

縄文・弥生時代の遺跡は熱田台地の東縁に点在する。縄文時代早期の小貝塚が台地南端付近にあったらしいが、晩期たま遺跡がみられる。弥生時代には高蔵たかくら貝塚がある。南北七〇〇メートル・東西二〇〇メートルの範囲に地点を異にして各期の遺物が出土し、なかでも国指定重要文化財の丹塗壺(後期)は著名。台地の西側には五世紀後半の断夫山だんぷやま古墳、六世紀初めの白鳥しらとり古墳があり、両者は大型の前方後円墳で尾張氏墳墓と考えられている。東側の高座結御子たかくらむすぶみこ神社境内には、直径二〇メートル以下の小円墳数基からなる高蔵古墳群がある。その第一号墳に副葬されていた鉄製釣針は被葬者の生業を暗示するものであり、弥生時代以来、海に深くかかわったことが知られよう。

熱田社に草薙剣を奉祀することは「日本書紀」にみえ、日割御子神・孫若御子神・高座結御子神の名が「続日本後紀」承和二年(八三五)条にみえ、この三社と熱田社は「延喜式」神名帳に名神大社として記載されている。「和名抄」の愛智郡一〇郷のうちには厚田あつた神戸かんべ(後の神戸ごうど二郷がみえる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「熱田区」の意味・わかりやすい解説

熱田〔区〕
あつた

愛知県西部,名古屋市の南部に位置する区。 1907年旧熱田町が名古屋市に編入,1937年区制。古くは,『和名類聚抄』に厚田郷の地名がある。江戸時代,東海道宿駅本陣脇本陣,舟番所などが置かれた。さらに陸路は美濃方面へ,海路桑名へ通じて,参勤交代大名や伊勢参宮客でにぎわった。熱田神宮門前町であったため,奉行所も置かれ,城下町に準ずる扱いを受けた。伊勢湾頭の漁港でもあったため,尾張藩の保護により魚市場が繁栄した。熱田駅付近は車両,ガラス,金属機械などの工場が多い。また堀川沿いには白鳥貯木場があり,製材工場が多い。熱田神宮は三種の神器の一つである草薙剣をまつる。 JR東海道本線,名古屋鉄道名古屋本線が通る。面積 8.20km2。人口 6万6957(2020)。

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