熱電温度計(読み)ネツデンオンドケイ

デジタル大辞泉 「熱電温度計」の意味・読み・例文・類語

ねつでん‐おんどけい〔‐ヲンドケイ〕【熱電温度計】

熱電対温度計

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精選版 日本国語大辞典 「熱電温度計」の意味・読み・例文・類語

ねつでん‐おんどけい ‥ヲンドケイ【熱電温度計】

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「熱電温度計」の意味・わかりやすい解説

熱電温度計
ねつでんおんどけい

温度検出素子として2種の異なる導体の素線(たとえば純金属線合金線)の先端を接合した熱電対(つい)を用い、先端部(測温接点)と基部(基準接点)との温度差に対応して発生する熱起電力の大きさによって温度を測定する計器。熱電対温度計ともいう。熱電温度計は構造が簡単でじょうぶという特徴を生かして、極低温域から3000℃付近の高温まで幅広い用途に数多く用いられ、なかでも工業用温度計としての役割が大きい。用いる熱電対素線の種類と組合せ、また、感温部、指示部の仕様などによって多くの種類があるが、広く用いられる器種については国際的に統一された工業規格が設けられており、出力信号である起電力と温度との関係が標準化されている。熱電温度計の指示部は電位差計電圧計)であり、指針型(アナログ型)の計器も用いられるが、1980年代以降は電子式デジタル電圧計と演算装置を用いて即時に温度値を表示するものが多い。普通、基準接点の温度が0℃のときの温度値を表示するが、実際の基準接点の温度を別の温度計で測って補正した値を表示するものもある。

[三井清人]

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改訂新版 世界大百科事典 「熱電温度計」の意味・わかりやすい解説

熱電温度計 (ねつでんおんどけい)
thermoelectric thermometer

2種類の金属の線を両端で接合した電気回路には,金属の種類と両接合点の温度とに応じた起電力が生ずる。そこで,一方の接合点を既知の一定温度に保っておいて起電力を測定すれば,他方の接合点の温度を知ることができる。このことを利用する温度計を熱電温度計という。19世紀後半に実用化され,学術上,産業上の計測制御に広く使われている。この目的に用いる金属線を素線,既知温度に保つ接合点を基準接点,他の接合点を測温接点と呼び,2素線と2接合点とで構成された系を熱電対と呼ぶ。熱電対の種類はきわめて多いが,おもなものを分類して示すと,(1)純白金,各種の白金-ロジウム合金のいくとおりかの組合せ,(2)ニッケル-クロム合金とニッケルに少量のアルミニウム,ケイ素を加えた合金との組合せ,(3)ニッケル-クロム合金とコンスタンタンとの組合せ,(4)鉄とコンスタンタンとの組合せ,(5)銅とコンスタンタンとの組合せ,(6)純タングステン,各種のタングステン-レニウム合金のいくとおりかの組合せなどである。起電力の測定には,電位差計,可動コイル型計器,ディジタル電圧計のほか変調方式の直流増幅による変換器,A-D変換器,リニアライザー(温度変化に比例した出力信号を得るための変換器)などが併用される。熱電対は一般に保護管に納めて使うが,シースと呼ばれる金属製のさやと一体につくられたものもある。
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百科事典マイペディア 「熱電温度計」の意味・わかりやすい解説

熱電温度計【ねつでんおんどけい】

熱電対を使った温度計。2種の金属線の接合点の一方(基準接点)を既知の温度,たとえば0℃または室温に保ち,他方(測温接点)を測定する点に置きその間の起電力を測れば温度差を算出できる。局所的な温度を測るのに便利で,信頼性が高く,遠隔測定,自動制御の発信などにも用いられる。白金と白金ロジウム(ロジウムが10%か13%)の組合せ,鉄とコンスタンタンの組合せ,銅とコンスタンタンの組合せなどが使われる。
→関連項目温度計高温計

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「熱電温度計」の意味・わかりやすい解説

熱電温度計
ねつでんおんどけい
thermoelectric thermometer

熱起電力を利用した温度計。熱電対 (異種の2金属を連結してつくった閉回路) の両端の接点を異なる温度に保つと熱起電力を生じて回路に電流が流れる。与えられた2種の金属の熱電対の熱起電力は両接点の温度差と定まった関係をもつので,一方の接点を基準温度に保ち,他方の接点を測温体の温度にすれば,ミリボルト計で測定した熱起電力の値から温度が求められる。電気的測定であるから精密で,遠隔操作,自動記録,自動制御など工業用に適する。熱電対に用いられる金属の対は,高温用には白金-白金ロジウム,アルメル-クロメル,タングステン-タングステンモリブデンが,低温用には銅-コンスタンタン,鉄-コンスタンタンが用いられる。また感度を上げるには熱電対を直列に接続したサーモパイルが用いられる。

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栄養・生化学辞典 「熱電温度計」の解説

熱電温度計

 サーモエレメントを利用した温度計.

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世界大百科事典(旧版)内の熱電温度計の言及

【温度計】より

…18世紀に入ると,G.D.ファーレンハイト,A.セルシウスらによって温度目盛の基準化が進められ,バイメタルを利用した温度計も考案された。19世紀の物理学の進展は,温度の概念に熱力学的および統計力学的な基盤を与えるとともに,電磁気現象や熱放射現象を利用する温度計,すなわち熱電対を利用した熱電温度計,金属や半導体の電気抵抗が温度によって変わることを利用した抵抗温度計,物体からの放射エネルギーの量を測定する放射温度計,輝度を標準の電球と比較して温度を測る光高温計などの発明をもたらし,また,温度測定の統一的な基準となる熱力学温度の単位の構想や,気体液化による低温の利用,電流の熱作用による高温の発生などを可能にした。これらの傾向は,産業技術の展開と表裏の関係をなし,一方で,産業用温度計の開発,汎用(はんよう)化を促し,他方で,極低温や超高温の分野における研究と利用,ひいてはこれらの極端な温度を測定する技術への多彩な挑戦を誘い出して,今日に及んでいる。…

【熱電対】より

…熱電対は二つの接点をともに測温点として,温度差を求める際にも使われる。熱電対を利用した温度計(熱電温度計)は,種々の温度計の中でも信頼性も高く,比較的安価なので,一般に広く使われている。熱電対として用いられる金属としては,熱起電力が高く温度に対する直線性のよいこと,化学的に安定なこと,材料が得やすいことなどが要求されるが,代表的な熱電対金属としては,銅とコンスタンタン,鉄とコンスタンタン,クロメルとアルメル,白金と白金ロジウムなどがある。…

※「熱電温度計」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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