季節の移り変わりや体内ホルモンの変化のほか、睡眠不足、ストレスなどが引き金となって起きる頭痛。目まいや吐き気を併発し、日常生活に支障を来すことも多い。現在は症状が出た場合に内服薬を服用するなどの対症療法が中心で、根本的な治療は難しいとされる。発症に至る詳しいメカニズムも分かっていない。
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出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
(1)Marcus DA, Scharff L, Mercer S, et al. Nonpharmacological treatment for migraine: incremental utility of physical therapy with relaxation and thermal biofeedback. Cephalalgia. 1998;18:266-272.
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(3)Bruni O, Galli F, Guidetti V. Sleep hygiene and migraine in children and adolescents. Cephalalgia. 1999;19(Suppl 25):57-59.
(4)Peatfield RC. Relationships between food, wine, and beer-precipitated migrainous headaches. Headache. 1995;35:355-357.
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(11)Derry CJ, Derry S, Moore RA. Sumatriptan (all routes of administration) for acute migraine attacks in adults - overview of Cochrane reviews. Cochrane Database Syst Rev. 2014 May 28;5.
出典 法研「EBM 正しい治療がわかる本」EBM 正しい治療がわかる本について 情報
慢性の頭痛で機能性のもの、すなわち明らかな脳の器質的病変を伴わない頭痛には、片頭痛、緊張型(きんちょうがた)頭痛、群発(ぐんぱつ)頭痛があります。片頭痛は人口の約8%、緊張型頭痛は約20~30%にみられ、群発頭痛はまれです。
片頭痛は一般に発作性にみられる片側性の脈拍に一致した拍動性の頭痛で、
片頭痛には前ぶれ(「前兆」と呼ぶ)を伴うタイプと前兆を伴わないタイプがあります。前兆としては、視野の中心付近から始まりキラキラ光る境界をもつ暗点(見えない部分:
この前兆は一般に1時間以内に消え、その後頭痛が続いて起こります。この前兆より前に、食欲亢進、あくび、感覚過敏、むくみ、興奮、疲労感、空腹感などの気分の変調が1~2日間にわたってみられることもあります。
片頭痛の痛みは、従来、血管の拡張によるものと考えられてきました。すなわち、片頭痛の前兆期には、血管が収縮することにより脳血流が低下するため前兆の症状が現れ、頭痛期には血管が拡張に転じ頭痛が生じるとの説で、血管説といわれてきました。
しかし、脳血流が低下している時期にすでに頭痛が始まることが明らかになり、痛みの原因として脳血管の周囲に分布する三叉神経が注目されました。この血管の周囲にはサブスタンスPやCGRPという神経伝達物質であるニューロペプチドがあり、これが遊離し、血管拡張や血管周囲の炎症が起こり痛みを発するとの説で、
最近の新しい片頭痛治療薬であるスマトリプタン(イミグラン)が有効であることは、この三叉神経血管説を裏づけるものといえます。
片頭痛の2~3日前から食欲
頭痛は脈拍に一致した拍動性のことが多いのですが、拍動性でなく持続性のこともあります。また、頭痛は片側性のことも、両側性のこともあります。しかし、痛みの程度は一般に強く、少し動くだけで痛みが強くなることもみられます。頭痛の持続時間は長くとも3日以内で、一般には睡眠により軽くなります。
片頭痛は機能性の頭痛で、片頭痛の診断は主に頭痛の性質や随伴症状などについての患者さんからの情報によってなされます。しかし、脳の器質的疾患を除外して、初めて診断が可能になります。そのため、診断をする際にはCTやMRIなどの脳の画像診断も行う必要があることもあります。
また、1回目の頭痛で片頭痛と診断をすることは危険と考えられており、前兆のないタイプでは少なくとも5回、前兆のあるタイプでは少なくとも2回、同様な頭痛を認めた場合に片頭痛という診断がつけられることになっています。これは、軽症のくも膜下出血などの器質的疾患を見逃さないようにするために重要であると考えられます。
片頭痛の治療には、頭痛時の急性期治療と予防的治療があります。
①頭痛時の急性期治療
欧米では1990年ごろからスマトリプタンというセロトニン受容体に作用する薬が第一選択薬として片頭痛に用いられて効果をあげてきました。日本でも、2000年にスマトリプタンの注射薬が認可され、01年にはスマトリプタンとゾルミトリプタン(ゾーミッグ)が経口薬として認可されました。
これらはトリプタン製剤と呼ばれますが、頭痛が始まってからでも効果がある点で使用しやすく、約60~70%の患者さんに有効で、片頭痛の発作に伴う悪心、嘔吐、光過敏・音過敏などの随伴症状に対しても有効であることが示されてきました。また、ひとつのトリプタン製剤が無効でも他のトリプタン製剤が有効であることもしばしば認められます。現在、日本では5種類のトリプタン製剤が使用可能です。
従来から使用されていた酒石酸エルゴタミンなどのエルゴタミン製剤は、前兆の時期に投与すると効果があることが知られています。しかし、エルゴタミン製剤はこの時期を逃して頭痛期になってから投与したのでは効果が出ません。現在では、大多数の片頭痛の患者さんに対しては、効果・副作用の観点からトリプタン製剤のほうがよく、エルゴタミン製剤は片頭痛の発作回数の少ない場合、あるいは発作の持続時間が長い場合のみに用いるという点で専門家の意見が一致しています。
また、頭痛の程度が軽い場合には、まず消炎鎮痛薬から試み、これが有効でない場合にトリプタン製剤を試みるという、段階的な治療法も行われます。
頭痛発作時に悪心・嘔吐が強い場合には、通常の内服錠剤では十分な効果が得られないことが少なくありません。このような場合には、ドーパミン拮抗薬であるメトクロプラミド(プリンペラン)やドンペリドン(ナウゼリン)などの制吐薬を併用すると効果的です。
②予防的治療
片頭痛の発作がしばしばあり、急性期治療だけでは十分に治療ができない場合や、急性期の治療が薬の
従来から、予防的治療として
予防薬を使う基準としては、まず発作の頻度があげられます。最近は、1カ月に3~4回以上、支障度の強い頭痛発作がある場合には、原則として予防薬を使用することが推奨されています。
トリプタン製剤が開発されて以来、片頭痛に対して有効な治療を行うことができるようになってきたので、早い時期に神経内科や脳外科の専門医の診断を受け、治療を受けることが大切です。最近は、有効な治療法としてトリプタン製剤がありますが、頭痛の程度によっては、消炎鎮痛剤が有効であることも多いので、治療に関しては専門医とよく相談してください。
また、従来使用されてきたエルゴタミン製剤やトリプタン製剤、消炎鎮痛剤などの過剰投与により、薬物乱用頭痛(コラム)が生じることが知られているので、薬剤の服用量に関しても専門医とよく相談してください。
荒木 信夫
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報
ずきんずきんと脈打つような強い頭痛が発作性に片側の側頭部、ときには両側性、あるいは後頭部などに現れる病気で、頭痛は反復し、慢性に経過する。男性よりも女性に多くみられ、若年期に発症するものが多く、更年期以降は減少の傾向がある。頭痛は通常2、3時間続いて軽快し、発作と発作の間には現れない。これを普通型片頭痛という。これに対して典型的片頭痛では、頭痛がおこる前に前駆症状として目がちかちかしたり、視野が狭くなったりするほか、視力低下、めまい、吐き気、嘔吐(おうと)などがみられる。まれであるが長い経過をとる片頭痛患者では、頭痛発作のかわりに腹痛発作、胸部・骨盤・四肢に限局する疼痛(とうつう)発作、一過性の精神症状を認めることもある。これを片頭痛代理症という。
片頭痛は血管性頭痛の代表的なものとされており、その成因については、脳血管の収縮に引き続いておこる頭蓋(とうがい)内外血管の拡張を重視する頭部血管の異常反応説が有力である。片頭痛発作の治療には、頭部血管の拡張を抑制するトリプタン系薬剤やエルゴタミン製剤を用いることが多い。予防には、カルシウム拮抗(きっこう)薬の塩酸ロメリジン、β(ベータ)遮断薬、精神安定剤などが用いられる。
[海老原進一郎]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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