特定復興再生拠点区域(読み)とくていふっこうさいせいきょてんくいき

共同通信ニュース用語解説 「特定復興再生拠点区域」の解説

特定復興再生拠点区域

東京電力福島第1原発事故のため放射線量が高く立ち入りが制限されている帰還困難区域のうち早期の避難指示解除を目指し、国費除染インフラ整備を進めるエリア。略称は復興拠点。福島復興再生特別措置法に基づき、6町村がそれぞれ作成した計画を政府が認定した。今年春~6月ごろの避難解除を予定する葛尾村大熊町双葉町では住民の準備宿泊が行われている。残る飯舘村浪江町富岡町は来年春ごろの避難解除を目指している。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「特定復興再生拠点区域」の意味・わかりやすい解説

特定復興再生拠点区域
とくていふっこうさいせいきょてんくいき

2011年(平成23)の東京電力福島第一原子力発電所事故による放射線の影響で、将来にわたって立ち入りを制限した帰還困難区域のうち、住民の居住や農業の再開などを認めた区域。略称は「復興拠点」。帰還困難区域の住民から根強い帰還要望があったため、国が除染やインフラ整備を進め、2022年(令和4)6月から順次帰還を認めた。福島県の大熊(おおくま)町、富岡(とみおか)町、浪江(なみえ)町、双葉(ふたば)町、飯舘(いいたて)村、葛尾(かつらお)村の6町村のうち約2750ヘクタール(帰還困難区域全体の8%)が該当し、ほとんどが駅前商店街や集落である。6町村合計の帰還者目標数は約8000人であるが、2023年5月時点で、実際に帰還した人は浪江町と飯舘村を除く4町村で約150人にとどまる。

 国は住民の要望を受け、2017年、将来にわたって立ち入りを制限するとした福島復興再生特別措置法(平成24年法律第25号)を改正し、住民帰還を可能とした。6町村が作成した復興拠点整備計画は、(1)除染によりほぼ5年以内に避難指示解除に支障のないレベル以下に放射線量が下がる、(2)帰還者の目標数が住民の意向を反映して的確である、(3)計画的で効率的な整備が可能である、(4)生活や経済活動に適した地形で、帰還困難区域外とのアクセスが確保できる、などの基準を満たしたため、内閣総理大臣が2017~2018年に各計画を認定した。これを受け、国費での除染、廃棄物処理、家屋解体などを進め、道路、上下水道、公園などのインフラや、農園、住宅団地、医療・福祉施設、体育館、公民館、図書館などの公共施設を整備。2021年から自宅で寝泊まりする準備宿泊を始め、2023年5月までに6町村すべての拠点地域で避難指示解除が実現した。なお政府は、復興拠点以外の区域でも帰還希望の住民がいるため、帰還困難区域内に新たに「特定帰還居住区域」を定め、2029年末までに希望者全員の帰還完了を目ざしている。

[矢野 武 2023年12月14日]

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