飯舘(読み)いいたて

改訂新版 世界大百科事典 「飯舘」の意味・わかりやすい解説

飯舘[村] (いいたて)

福島県北東部,相馬郡の村。人口6209(2010)。阿武隈高地北部の丘陵地にあり,真野川,新田川の上流域を占める。近世は相馬藩領山中郷と呼ばれ,飯樋には藩の陣屋が置かれた。現在の中心集落草野は浜通りと中通りを結ぶ交通の要地にあり,近世には問屋場が置かれ,物資の集散,人馬の継立てでにぎわった。古くから馬産が盛んで草野,飯樋には馬市が立ったが,第2次世界大戦後衰退し,近年は肉牛乳牛飼育に変わった。また米作タバコやインゲンなどの高冷地野菜の栽培も行われる。高冷地で偏東風の影響も受けやすく,近世にはしばしば飢饉にみまわれ,豊作を祈願する田植踊(県重要無形文化財)が伝えられている。2011年3月の福島原発事故に際し,村役場機能を福島市に移転した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報