化学辞典 第2版 「特定物質」の解説
特定物質
トクテイブッシツ
specified substance
公害用語.物質の合成,分解,化学処理に伴って発生する物質のうち,環境またはヒトの健康に被害を生じるおそれのある物質で,大気汚染防止法で定められている.現在28種類(アンモニア,フッ化水素,シアン化水素,一酸化炭素,ホルムアルデヒド,メタノール,硫化水素,リン化水素,塩化水素,二酸化窒素,アクロレイン,二酸化硫黄,塩素,二硫化炭素,ベンゼン,ピリジン,フェノール,硫酸,フッ化ケイ素,ホスゲン,二酸化セレン,クロルスルホン酸,黄リン,三塩化リン,臭素,ニッケルカルボニル,五塩化リン,メルカプタン)の化学物質が指定されている.特定物質を発生する施設(特定施設)における事故で大気中に多量に排出された場合は,ただちに応急の措置を講じ,すみやかに復旧することが要請される.排出基準などの数値的規制はない.オゾン層保護のためのウィーン条約,およびオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書にもとづいて制定されたオゾン保護法では,ハロン,クロロフルオロカーボン(CFC),トリクロロエタン,四塩化炭素,ハイドロクロロフルオロカーボン(HBFC),臭化メチルなどを特定物質として,削減あるいは全廃を制定している.化学兵器の開発,生産,貯蔵,および使用の禁止,ならびに廃棄に関する条約にもとづいた,特定物質の製造,使用などを規制するものもある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報